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10周年のソニー・エリクソン これからの10年

CEOが語るスマートフォンの未来

ジャーナリスト 石川 温

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世界的なスマートフォンブームのなか、次々に製品を投入して存在感を示しているソニー・エリクソン。2001年10月にソニーとスウェーデンのエリクソンによる携帯電話事業部門の合弁会社として創業し、間もなく10周年を迎える。グローバルメーカーが激しい戦いを繰り広げるなか、これからソニー・エリクソンはどの方向に進むのか。同社のバート・ノルドベリ最高経営責任者(CEO)に話を聞いた。

「グーグルが欲しかったのは特許」

この夏、世界のモバイル業界を驚かせたのは、米グーグルによる、米モトローラ・モビリティーの買収だった。スマートフォン用OS(基本ソフト)「Android(アンドロイド)」を提供しているグーグルは、買収発表の直後に韓国サムスン電子、韓国LG電子、台湾HTC、ソニー・エリクソンなどアンドロイドの主要パートナー企業の幹部による「買収を歓迎する」というコメントを発表した。その一方で、「グーグルがモトローラを傘下に収めて垂直統合型の端末開発に乗り出すのではないか」「モトローラの販売網を生かして、ユーザーとの接点を広げるのではないか」といった臆測報道が流れた。

アンドロイドでスマートフォンを開発するメーカーにとって、今回の買収劇は本当に脅威と感じられないのだろうか。

こうした疑問に対してノルドベリCEOは「そういった臆測は、グーグルのビジネスモデルを知らない人間が言うことだ。グーグルが米アップルをまね(て垂直統合型の端末開発をす)ることはない」と一蹴した。

「グーグルがどこから収益を得ているかを考えてみるといい。それは間違いなく広告だ」(ノルドベリCEO)。グーグルにはスマートフォン上に広告スペースを確保する狙いがあり、アンドロイドを無償提供して世界中のスマートフォンを押さえようとしている。アンドロイドがモトローラのスマートフォンだけになってしまうと、市場は米国と中国しかなくなると指摘した。「グーグルが欲しかったのは特許。この買収はパートナーである我々にもあらかじめ知らされていた。グーグルは1万7000件の特許を買ってアンドロイドのパートナーたちを守ろうというのだ」(同)

特許紛争の行方は「わからない」

昨今、アップルとアンドロイド陣営は激烈な訴訟合戦を繰り広げている。最近ではサムスン電子のアンドロイドタブレット「Galaxy Tab」がオーストラリアや欧州でアップルの訴えによって販売差し止めの憂き目を見ている。スマートフォンが世界で売れているなか、これからも訴訟合戦は続いていくのだろうか。

ノルドベリCEOは「こればかりは私にはわからない」という。特許戦争は複雑で、絶えずお互いを訴えている状態になっていると指摘。アップルは特許でもうけるよりも正当な競争を阻害しようとしているようだと述べたうえで「これはモバイル業界の新たな潮流になっていくかもしれない」と懸念する。

 ソニー・エリクソンは今回の特許紛争では、当事者というよりも傍観者の立場に近いと感じているようだ。ソニーとエリクソンは自身で数多くの特許を持っており、他社による訴訟から十分に耐えられるとの自負がある。そのうえで、「グーグルにとって特許は、相手からの攻撃から守るための武器として必要だった」(ノルドベリCEO)との見方を示した。ただし、「特許を押さえられればそれで安心かといえば、それは特許法律の専門家でないとわからない」という。

グーグルのモトローラ買収の影響は、スマートフォン分野ではソニー・エリクソンに及ばないようだ。ノルドベリCEOが気にしていたのは、スマートフォンではなくほかの分野。グーグルが買収したモトローラ・モビリティーはケーブルテレビ向けのセットトップ・ボックスの事業を手がけている。「グーグルはリビングルームにアンドロイド(端末)を持ち込みたがっている。ソニーもグーグルTVを手がけている」として、グーグルがモトローラのセットトップ・ボックス事業に力を注げば競合する可能性を示唆した。

「ユーザーがアンドロイドを選んでいる」

アンドロイドスマートフォンを手がけるグローバルメーカーを見渡すと、複数のプラットフォームで端末を投入している企業が多い。サムスン電子やLG電子、HTCは米マイクロソフトの「Windows Phone 7(WP7)」を搭載したスマートフォンも販売している。

その点、ソニー・エリクソンはスマートフォンでアンドロイド一本に集中している。かつて、「Windows Mobile」の端末を手がけていたソニー・エリクソンだが、WP7には興味はないのだろうか。

「携帯電話会社はプラットフォーム間の競争を望むため、(アップルの)iOSとアンドロイドだけでは物足りず、WP7も導入しようとしている」とノルドベリCEOは指摘する。

ソニー・エリクソンはアンドロイドに次ぐ第2のOSを導入することは否定しないという。ただし「それはユーザーが必要とするOSでなければならない。いま、ユーザーが選択しているのは間違いなくアンドロイドだ」(ノルドベリCEO)。アンドロイドに様々なサービスがついてくるところにユーザーがメリットを感じている現状を踏まえ、競合するOSがあるなかで「ユーザーがアンドロイドを選んでいる」(ノルドベリCEO)と指摘した。

「4Gスマートフォンは12年に投入」

グローバルメーカー間では、「4G(第4世代携帯電話)スマートフォン」での競争の話題も盛り上がり始めている。米国はLTEWiMAX、HSPA+などの高速化技術を「4G」とまとめて呼び、サムスン電子やLG電子、HTCなどが対応スマートフォンを先を競い合って投入している。

 ソニー・エリクソンは後じんを拝している印象だが、すでに準備を進めているという。「4G対応機種を12年に投入する。日本市場はNTTドコモやKDDIとの関係もあり、(LTE対応機種を)12年の第4四半期を目指している」(ノルドベリCEO)。競合他社が投入した4Gスマートフォンでは、バッテリー寿命などにユーザーが不満を感じていると指摘。「米クアルコムと(省電力設計などの)開発を進め、ユーザーに満足してもらえる4Gスマートフォンを計画している」という。

「携帯電話会社の要求に最大限で応えたい」

ソニー・エリクソンはスマートフォンで「Xperiaシリーズ」を立て続けに投入している印象がある。日本市場では春商戦の「Xperia arc」に続き、夏商戦で「Xperia acro」を発売。従来型の携帯電話が搭載していたおサイフケータイワンセグ、赤外線通信など日本市場向けの機能を盛り込んだことでヒット商品となった。

従来型携帯でドコモ向けから撤退したにもかかわらず、「ガラスマ(ガラパゴススマートフォン、従来型携帯の機能を持ったスマートフォン)」ともやゆされる製品を投入した。グローバルメーカーながら、あえて日本市場に特化した製品を開発した背景には何があったのか。

「Xperia acroは携帯電話会社と密接な関係を構築したうえで開発した。携帯電話会社の要求に最大限で応えたいというのが我々のポリシー」とノルドベリCEOは説明する。アンドロイドはグローバルなOSで、オープンスタンダードであるからこそ、携帯電話会社の要望を満たすカスタム化も実現できるという。

「日本は高品質なものづくりにたけている」

夏商戦では、女性を意識したコンパクトな「Xperia ray」も投入した。スウェーデン、米国、中国など開発拠点が世界に点在しているソニー・エリクソンのなかで、Xperia rayは日本の開発チームが中心となってつくり上げたという。

ノルドベリCEOは、日本の開発チームが高品質なものを作るのにたけているという。このためハイエンドモデルや、Xperia rayなどの小型化技術を必要とするモデルは日本で作る方針を示した。「グローバルメーカーでの競争が激化していくなか、日本の開発チームの活躍には感銘を受けている。今後も重要な存在になっていくだろう」。

 モバイルの世界は、もはやスマートフォンだけでは勝負にならない時代になってきた。パソコンやゲーム機、タブレットがクラウドを経由して、コンテンツを扱う時代が到来している。

ソニーグループ内ではコンテンツやハードを横断的に開発する動きが加速しているという。ノルドベリCEOはグループをあげて「ソニーらしさ」を追求していく方向にあると説く。先日、ソニー本社に統合ユーザーインターフェースを開発する組織が立ち上がったことを紹介し、グループを挙げて「Sonyness(ソニーらしさ)」を開発する姿勢を強調。テレビ、タブレット、パソコン、スマートフォンなどのソニー製品が統合する世界を目指していく。

「我々はスマートフォンの世界からSonynessを追求していき、差異化を図っていく」とノルドベリCEO。従来は"デザイン的に美しいもの"を作ってきたが、「これからはソフトウエアやコンテンツが重要になる」という。ソニー本体ともにソニーブランドを活用し、効果的なマーケティングを狙う考えだ。

「スマートフォンでつながる環境を演出」

ソニー・エリクソンが誕生して10年。「この先の10年は、今まで以上にソニーとの連携が強化され、様々な機器がクラウドを経由してつながっていく」とノルドベリCEOは語る。そのうえで「機器は増えていくが、その中心にあるのはやはりスマートフォンだ」と付け加える。

スマートフォンは月面に着陸した「アポロ」の演算処理能力を超えているという。その一方で、ユーザーが最も使うのは電話機。新興国ではパソコンではなく電話機がネットにつながるための手段となる。海外出張に行けば、ほとんどの人がパソコンではなく電話機で連絡を取り合い、仕事をこなす。クラウドで業界は進化していくが、これからもますます電話機は使われていく――。

家電製品にアンドロイドが載れば、それらをコントロールするのはアンドロイドスマートフォンとなる。Xperiaはすでにテレビとの連携も実現している。ノルドベリCEOは「ソニー・エリクソンとして、世界がスマートフォンでつながっていく環境を発展させていきたい」と抱負を語った。

石川温(いしかわ・つつむ)
 月刊誌「日経Trendy」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。近著に「グーグルvsアップル ケータイ世界大戦」(技術評論社)など。ツイッターアカウントはhttp://twitter.com/iskw226

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