中国高速鉄道、事故区間で運転再開 切符は当日分のみ
【温州(浙江省)=戸田敬久】中国浙江省温州市で35人が死亡した高速鉄道の追突・脱線事故で不通になっていた温州南駅と隣接する永嘉駅間の運行が25日朝から再開した。事故現場付近では高架から落下した追突車両の最前部が破壊されたうえ、土をかぶせて埋められたもよう。事故原因の追究をなおざりにしたままの営業運転再開へ疑問の声も上がりそうだ。
温州南駅関係者は「午前9時半(日本時間午前10時半)に最初の高速鉄道が通過した」と話した。列車は北方面に向かったという。ただ「明日以降の状況については不透明として、切符販売は当日分だけにとどめているという。
中国鉄道省の王勇平報道官は24日深夜の会見で、同日夜7時の時点で「開通条件は整った」と説明。ただ同夜は雷雨に見舞われるなど悪天候だったため、「安全を考慮して運転再開しなかった」という。
王報道官は「中国の高速鉄道は運行を始めてからの日が浅く、多くの問題に直面している」と語り、安全対策を強化する方針を示した。一方で、「中国の高速鉄道技術は先進的で、なお自信を持っている」と、200人以上の死傷者を出しながらもなお強気の構えを崩さなかった。
鉄道省は同日夜の時点で死者は35人、負傷者は192人と発表。そのうち5人が外国人で、米国籍中国人とロシア人の2人が死亡した。ただ中国国営新華社は「さらに8人の遺体が見つかった」と24日夜、報じている。
23日の衝突事故では浙江省杭州から福建省福州に向かう「D3115」が落雷で緊急停車していたところに、北京発福州行きの「D301」が追突、4両が高架橋から落下した。鉄道省によれば、D3115には1072人、D301に558人が乗車していた。