ロシア石油最大手、米エクソンと提携 北極海などで油田開発
【モスクワ=金子夏樹】ロシアの国営石油最大手ロスネフチと米石油最大手エクソンモービルは30日、北極海大陸棚などでの油田探査・開発に関し業務提携することで合意した。ロスネフチは英石油大手BPとの提携交渉が白紙となり、新たな提携先を探していた。エクソンの技術提供を受け、大規模な深海油田の開発を本格化させる。エクソンは未開発の油田を多く抱えるロシアで、事業を拡大する。
共同開発の対象はロシア北部の北極海と、ロシア南部の黒海にある深海油田。北極海の対象地区は12万6000平方キロメートルで、推定原油埋蔵量は5000万トンに達するとの見方もある。黒海の対象地区は約1万1200平方キロメートル。
エクソンモービルによると、両地域での投資額は32億ドル(約2500億円)に達する見通し。両社は合弁企業を設立し、共同で油田のほかガス田の開発も進める。出資比率はロスネフチが66.7%、エクソンモービルが33.3%となる。
ロシア西部サンクトペテルブルクに研究技術センターを設立し、エクソンがロスネフチに深海油田の開発技術や環境保護のノウハウなどを提供する計画。ロスネフチはエクソンが開発を進めるメキシコ湾の深海油田や、米テキサス州の油田などの一部権益を取得する権利も持つ。
調印式に参加したロシアのプーチン首相は「提携は世界のエネルギー市場にとってプラスと受け止められるだろう」と指摘した。ロスネフチは1月に北極海の開発で英BPと資本業務提携で合意したが、5月にBPのロシア合弁企業の株主の反対で提携が白紙となっていた。