食物繊維、脳卒中予防に効果 喫煙すれば打ち消し
食物繊維をとれば脳卒中や心臓病のリスクを抑えられるが、たばこを吸うと効果は打ち消しになる――。国立がん研究センターと国立循環器病研究センターが成人男女約8万7000人を対象に約10年間追跡した調査でこんな結果が出た。喫煙の影響は、肺がんなど呼吸器系の病気にとどまらないことが改めて浮き彫りになった。
研究班は岩手、長野、沖縄県などの45~74歳の男女を2004年まで約10年間にわたって追跡調査。食物繊維の摂取量と脳卒中、心臓病の発症リスクとの関係を調べたところ、女性では食物繊維の摂取量が多いほど脳卒中などの発症が抑えられた。食物繊維の摂取量が上位2割のグループの発症リスクは、下位2割に比べ35%低かった。
研究班は食物繊維が消化器内で膨らみ、満腹感が出て食べ過ぎを抑えたり、コレステロールの排出を促したりしたことで、脳卒中の原因となる高血圧症にかかるリスクが減った可能性があるとみている。
ただ、男性では食物繊維の効果はみられなかった。男性の喫煙率が高く、血管収縮や動脈硬化などを通じて脳卒中や心臓病のリスクが高まり、食物繊維の効果が打ち消されたと予測している。
循環器病研究センターの小久保喜弘医長は「食物繊維には循環器病の予防効果があるが、健康のためにまずは禁煙を優先すべきだ」と分析する。