NY株大幅反落、634ドル安 10カ月ぶり安値
【NQNニューヨーク=増永裕樹】8日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅反落した。終値は前週末比634ドル76セント(5.5%)安の1万0809ドル85セントで2010年10月4日以来約10カ月ぶりの安値。下落幅の大きさは08年12月1日(679ドル95セント安)以来で、史上6番目だった。米国債の格付け引き下げや欧州財政不安の再燃で、投資家心理が大きく悪化。米景気の「二番底」リスクもくすぶり、金融株を中心にほぼ全面安となった。
米スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)による米国債格下げについて、市場は将来の格下げの方向自体はある程度想定していたが、8月中の実施は意外と受け止めたという。
イタリアやスペインなど一部南欧諸国の債務に対する警戒感も投資家心理を冷やし、運用リスクを回避する動きが拡大。投資家が株式からいったん資金を引き揚げる動きが加速した。ダウ平均はこの日の安値で終えた。
午後中ごろ、オバマ米大統領が声明で格下げについて「市場は我々の信用が世界で最も安全であることを再確認している」などと述べた。投資家の懸念を和らげるには至らず、株式相場は下げ幅を広げる場面があった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日続落した。前週末比174.72ポイント(6.9%)安の2357.69となり、ダウ平均と同じく昨年10月4日以来の低水準。下げ幅は08年9月29日以来の大きさだった。
業種別S&P500種株価指数は全10業種が下落。「金融」が10%近く下げたほか「エネルギー」や「素材」の値下がりも目立った。ダウ平均を構成する全銘柄が下げた。
市場の取引は膨らんだ。ニューヨーク証券取引所(NYSE)の売買高は約25億4000万株(速報値)、ナスダック市場は約39億1000万株(同)だった。
大手銀のバンク・オブ・アメリカが20%超下げ、下落率はダウ平均を構成する30銘柄で最も大きかった。同社が販売した住宅ローン担保証券を巡り、保険大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が訴訟を検討しているとの報道を受け、潜在的な損失への懸念が浮上した。
従業員が11年ぶりにストライキを実施した通信大手のベライゾン・コミュニケーションズも下落。月次売上高動向が良好だったマクドナルドも売りに押された。