中国ヒット商品ベスト25 1位は中国版ツイッター
中国の消費動向を現地調査していた日経BPヒット総合研究所は、「2011年中国ヒット商品ベスト25」を発表した。売り上げの伸び、商品の新規性、生活への影響度などを評価ポイントにしてランキング化したもので、1位には「新浪微博」が選ばれた。
新浪微博はネットのミニブログサービスで、いわば中国版ツイッター。2009年8月にテストサービスを開始し、2011年4月時点で1億4000万人の登録ユーザーを集めている。中国のネットユーザーは4億7700万人といわれており、その中で大きなシェアを獲得しただけでなく、このミニブログを通じたクチコミからヒット商品が生まれるなど消費に与えた影響も大きかった。
2位は米アップルのiPhone、3位は中国版のネット共同購入サービス「団購」。1位の新浪微博と合わせてベスト3をネット関連の商品、サービスが占めており、中国が急速にネット社会化していることを物語っている。
同研究所が中国の20~40代の消費者に対して行ったネットアンケート調査(回答者1829人)によると、「いつもパソコンをいじっている」と回答した人が、全体の75%に上っている。20代にしぼると80%を超えるという"ヘビーユーザーぶり"だ。同研究所が行った生活実態調査では、ほとんどの20代が帰宅すると、まずパソコンを立ち上げ、ミニブログでつぶやき、チャットで会話を楽しみ、ネットでテレビ番組を見ていることが明らかになっている。
2位となったiPhoneは中国の若者があこがれるスマートフォンだ。16GBモデルでも日本円にしたら6万円以上するために、月収2万~3万円程度の中国の若者が簡単に買える商品ではない。しかも日本などのように通信契約と引き換えに本体価格が大きく割り引かれるわけでもない。それでもアップルストアでは短時間のうちに飛ぶように売れ、家電量販店では「売りたくても入荷がない」という状況となっている。実際、アップル製品を持つことはステータスで、スターバックスコーヒーでアップルのノートパソコンやiPadを操作することが若者にとって「最高のお洒落」で「自慢」となっている。またファストファッションのH&MやZARAで買い物をし、アップルストアに寄ることは若者のデートの定番だ。
3位の団購は、ネット好きで値引きやオマケに強く反応する中国の消費者にピタリとはまったサービス。とても利益が取れると思えない「キャンペーン価格」も多数登場するため、団購サイトをチェックするのが日課となっている消費者も多い。ブームでサイトが乱立しているため、団購サイトを比較するサービスまで登場している。安さも魅力だが、ゲーム感覚で団購を楽しんでいるようだ。
急速にネット社会化する一方で、パソコンなどハイテク機器からカラダを守る商品もヒットしている。21位の電磁波防止マタニティウェアがそれで、オフィスで仕事をするときや外出時に身に着ける女性が多い。「電磁波防止」はカラダに関連した商品のヒットのキーワードになっており、これまでも「電磁波防止に効く」としてサボテンが売れたり、あるブランドのスキンケアクリームが売れたりしている。こういった商品が売れるのはネットのクチコミがきっかけとなっていることが多く、ここでもネット社会の影響を見ることができる。
(日経BPヒット総合研究所 尾島和雄)