ソロス氏、顧客の預かり資産全額返還へ 約780億円
年末までに
米著名投資家ジョージ・ソロス氏が率いるソロス・ファンド・マネジメントが、今年末までに顧客の預かり資産をすべて返還することを決めた。複数の米メディアが26日に報じた。返還の総額は約10億ドル(約780億円)になる見込み。ヘッジファンドへの規制強化に伴う当局への詳細な情報開示などを回避するためとみられる。今後はソロス氏自身や家族の資産運用に専念するという。
ソロス氏の「クォンタム・ファンド」は過去40年で、年率20%前後という高い収益を誇ってきた。1992年には英ポンドに空売りを仕掛け、世界的に一躍有名になった。ソロス氏自身は近年、運用の一線から退き、慈善活動に注力している。
RJRナビスコに敵対的買収を仕掛けたことなどで知られる米著名投資家カール・アイカーン氏も今年3月、顧客資産をすべて返還すると公表した。ソロス氏は80歳、アイカーン氏は75歳。外部の投資家のお金は運用しないという共通の決断は、ファンド業界をけん引してきた両氏の時代が終わりに近づいている証しでもある。
(ニューヨーク=川上穣)