宮城の牛も出荷停止 汚染疑い、14道県から2965頭流通
放射性セシウムに汚染された稲わらが肉牛に与えられていた問題で、政府は28日、宮城県全域の肉牛の出荷を制限するよう同県に指示した。肉牛の出荷停止は福島県に続き2県目で、宮城県産の食品の出荷停止は初めて。政府は今後、岩手県にも同様の出荷制限を指示する方針だ。
農林水産省は28日、暫定規制値(1キログラムあたり300ベクレル)を超える放射性セシウムを含んだ稲わらを与えられ、出荷された肉牛は、これまでに14道県で2965頭となったと発表。同省などによると、このうち35頭の肉から暫定規制値(同500ベクレル)を超えるセシウムが検出された。
出荷制限指示について、宮城県の村井嘉浩知事は「国の責任で(出荷を)止めると明示したことは消費者に安心感を与える。迅速に対応してくれた」と評価。農家への早期補償に加え、安全が確認された牛についてできるだけ早く出荷制限を解除するよう求めた。
同県などによると、これまでに県内から出荷された計10頭から暫定規制値を超える放射性セシウムが検出された。同県から出荷される肉用牛は年間約3万3千頭。
政府は制限解除の条件について、牛を汚染から守る管理計画を提出するとともに、汚染が確認された牛を出荷した農家と、高濃度汚染された稲わらを食べさせた農家を対象とした全頭検査などを行うことを求めている。
農水省によると、規制値を超えるセシウムを含んだ稲わらは宮城、岩手、福島、茨城、栃木の5県で生産された。これらの稲わらの流通先は16道県にのぼっている。