首相、脱原発依存「個人の考え」 閣内から批判相次ぐ
菅直人首相は15日の閣議後の閣僚懇談会で、13日の記者会見で「将来は原発の無い社会を実現する」と言及したことに関し「個人の考えとして示した。このあたりで国民に方向性や自分の決意を述べておく時期ではないかと考えた」と述べた。閣僚からも批判的な声が相次ぎ、政府の基本方針ではないとの考えを説明したものだ。
中野寛成国家公安委員長は閣僚懇談会で「閣僚は話を聞いたことがない」と指摘し、原発問題を議論する閣僚懇談会を開くよう求めた。枝野幸男官房長官は「来週早々にでも機会を設ける」との考えを示した。
閣議後の記者会見でも首相方針に疑問を呈する発言が相次いだ。野田佳彦財務相は「エネルギー政策をどうするかという議論は短兵急にやる話ではない」と述べた。玄葉光一郎国家戦略担当相は「十二分に議論し、関係自治体との調整もして政府の結論を出すべきだ」と語った。
高木義明文部科学相は「首相本人も政府・与党で議論していないと認識している」と指摘。与謝野馨経済財政担当相は「日本の電力を多く消費する分野は競争力を失う」と批判した。
海江田万里経済産業相は13日の記者会見前に首相から電話をもらい、原発政策について意見を伝えた経緯を明らかにした。首相は「議論はいずれしっかりやろう」と述べたという。経産相は15日の記者会見で「いずれ議論はやるということなので、方向性を否定するものではない」と語った。
一方、北沢俊美防衛相は「首相が国の将来について自らの思いを述べるのは至極当然だ」と擁護した。原発政策については「政治の場で真剣にやるべきだ」と述べた。細野豪志原発事故担当相は「新規に原発をつくるのは極めて難しい状況に陥っている。依存度を下げるのは現実論だ」と指摘した。
自見庄三郎金融担当相は「エネルギー政策について首相が発言したことは重い。日程や法律は官僚が作ればよい」と述べた。