東工大、副学長が不適切経理の疑い 次期学長就任を辞退
東京工業大は29日、大倉一郎副学長(66)が研究費を巡り不適切な経理処理に関与した疑いがあるとして、調査委員会を設置したと発表した。大倉副学長は今年10月に次期学長に就任する予定だったが、この問題の責任を取って辞退した。東工大は調査結果の中間報告を秋にも公表し、処分するか検討する。
慶応大や成蹊大などでも研究費を巡り同様の指摘があり、調査委員会を設置するなどして事実関係を調べている。
高木義明文部科学相は29日の閣議後の記者会見で「早急に事実を解明し、再発防止に取り組んでほしい。全国の大学についてもチェック体制がどうなっているかを含め、調査してもらいたい」と述べた。
東工大によると、大倉副学長が関与したとされるのは取引業者に商品を架空発注して資金を保管させ、翌年度以降の別の物品購入に充てる「預け金」という経理処理。大学の研究資金は年度内に使い切れない場合は返還するのが原則だった。
少なくとも2003~04年にかけ、大倉副学長の研究室で理化学機器の納入業者との間で行われていたとみられる。
大倉副学長は大学を通じ「社会を騒がせ、大学に迷惑をかけていることについて責任を感じている」とのコメントを出したが、関与の有無については言及しなかった。