女性の平均寿命86.39歳、5年ぶり縮む 猛暑が一因に
2010年の日本人の平均寿命は女性が86.39歳、男性が79.64歳だったことが、厚生労働省が27日に発表した同年の「簡易生命表」で分かった。09年比では女性は0.05歳縮み、男性は0.05歳延びた。女性は5年ぶりに縮み、男性は5年連続で過去最高を更新。女性の平均寿命短縮について同省は「猛暑により熱中症や心疾患などで死亡する人が増えたことが一因」とみている。
平均寿命は、その年生まれた0歳の子供が何年生きられるかを示す。国によって計算方法が異なるため厳密な比較はできないが諸外国・地域と比べ女性は26年連続で世界1位。香港、フランス、スペインが続く。男性は香港、スイス、イスラエルに次いで4位だった。
10年は「30年に一度の猛暑」(気象庁)で、高齢者を中心に夏場の死者が急増。熱中症による死亡は女性が798人(09年91人)、男性が920人(同145人)。男女ともに平均寿命にマイナス0.01歳分の影響があった。ただ、女性は猛暑で健康を崩しやすい高齢者が男性より多く、がんの死亡率改善が男性ほどではなかった。
がん、心臓病、脳卒中の「三大死因」によって将来死亡する確率は女性50.88%、男性53.97%。3死因がすべて克服されたと仮定した場合、平均寿命は女性は93.17歳、男性は87.45歳になると試算された。65歳以上の期間が一生に占める割合は女性が25.9%で、男性が20.6%。
11年は東日本大震災が発生したため、同省担当者は「平均寿命に影響を及ぼす可能性は否定できない」と話す。
男性の平均寿命では、昨年の国際比較で81.0歳(対象年は07年)を記録して1位になったカタールが今年は77.9歳(同08年)でベスト5圏外に。原因は不明だが、人口が145万人と少なく、同省の担当者は「高齢者の死亡状況が、より大きく反映されるのかもしれない」と話した。