米シスコ、社員の16%削減 10億ドル節減へ工場売却も
【シリコンバレー=岡田信行】米IT(情報技術)大手のシスコシステムズは18日、全世界で社員の約16%にあたる1万1500人を削減すると発表した。早期退職の募集などで6500人を削減するほか、メキシコの工場を売却する。同社は直近2四半期の純利益が減益となり、10億ドルのコスト削減を発表。人員削減を含む対策の実行で収益改善を急ぐ。
シスコは2100人の早期希望退職の募集や、中堅幹部以上の職員を15%削減するなどして計6500人を削減するほか、メキシコ・ホアレスにあるセットトップボックスと呼ばれるネットワーク接続機器の工場を売却して5000人を移籍させる。
工場の売却先は世界最大の電子機器の受託製造サービス(EMS)、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業の中核子会社フォックスコン・グループ(中国)で、売却額は非公表。同工場はシスコが2006年にサイエンティフィック・アトランタ社を買収した際に取得した。売却後も雇用は継続するとしている。
シスコはシリコンバレーの名物経営者の1人、ジョン・チェンバーズ最高経営責任者(CEO)の指揮のもと、積極的な企業買収を通じて多角化や業容拡大を推し進めてきた。しかし、本業のネットワーク機器で米国や中国の競合メーカーとの競合が激化して収益性が悪化。株価も低迷し、多角化路線に疑問の声も噴出。「言い訳できない状況」(チェンバースCEO)に追い込まれていた。