香港上場の中国企業にインサイダー疑惑 超大現代農業
香港に上場する中国の農産品生産・販売会社、超大現代農業(控股)は30日、同社首脳が香港政府からインサイダー取引容疑で調査を受けていると発表した。同社が2009年6月18日に公表した第三者割当増資に関する情報を、引受先の1つだった米投資会社のファンドマネジャーに事前に漏らした疑いが持たれている。会計問題に続き、中国企業への不信増大につながりかねない新たな疑惑が表面化した形だ。
香港の独立行政組織、市場不正行為審決処によると、調査の対象は情報を漏らした超大の郭浩主席と陳志宝・最高財務責任者(CFO)、同社株を取引した米フィデリティー・マネジメント・アンド・リサーチのジョージ・ステアーズ氏の3人。超大、フィデリティーともに不正行為への関与を否定している。
同処の通知によると、増資を公表する3日前の15日夜の電話会議で、郭氏と陳氏が増資の規模や発行価格(5香港ドル)を伝達。ステアーズ氏は翌16日に保有する超大株37万4千株を5.3香港ドルで売却する一方、増資引き受けの一環として18日に4.6香港ドルで63万株を購入したとされる。
同処はステアーズ氏が増資に関する情報を「重要事実と知っていた」とみている。そのうえ「郭氏と陳氏はこの重要事実をステアーズ氏が使い、超大株を取引することを知っていたか、そう信じるに足る理由があった」としている。
なお、超大株は26日午後から売買停止となっている。その直前の株価は1.1香港ドル。この1年で8割強下落している。
(香港=川瀬憲司)