中国当局、事故車両の前部破壊 ネットで「隠蔽」批判も
【温州共同】中国浙江省温州市で起きた高速鉄道の列車追突事故で、中国当局は25日までに高架橋から落下した追突車両の最前部を破壊し、インターネット上では「事故原因の隠蔽ではないのか」との批判が高まった。一方、鉄道省報道官は24日深夜、死者は43人ではなく35人として、国営通信新華社の報道を事実上修正した。
現場では事故翌日の24日朝、落下した追突車両の最前部を油圧ショベルで破壊した。ネット上では「破壊された最前部を現場に埋めており、事故原因の隠蔽ではないのか」との疑問が出ている。
一方、新華社は24日夜、救助隊が新たに8遺体を発見したと報道。確認されていた死者35人と合わせ計43人となったが、鉄道省報道官は同日深夜の記者会見で、死者は35人と言明、負傷者も211人から192人に修正された。新華社が伝えた8遺体については、中国の経済雑誌(電子版)も発見時間などを詳細に報じていた。
中国のメディア関係者は25日までに、列車追突事故について、共産党中央宣伝部が国内メディアに対して独自報道をしないよう求める通知を出したことを明らかにした。
関係者によると、国内の新聞社などが宣伝部の通知を受け取ったのは事故翌日の24日午前。事故の報道は新華社の配信記事を使用し、独自取材に基づく報道をしないよう要求している。事故に対する当局の責任を問う声を封じ込める狙いがあるとみられる。
ネット上では事故を「人災」と指摘し、当局に批判的な書き込みも多い。高速鉄道は国家的プロジェクトだけに、事故の実態や重大な欠陥が大きく報じられると、政府の威信に関わるとの判断も情報管理の背景にあるようだ。