暴力団組員情報をデータベースに 日証協と接続、警察庁
警察庁は、暴力団や外国人などによる組織犯罪対策を強化する。暴力団組員らの情報をデータベース化、日本証券業協会からの照会に回答し、証券取引からの暴力団排除を徹底する。持ち運んで設置場所を変えられる車載型の自動車ナンバー自動読み取り装置(Nシステム)を3都県に導入する。
同庁は29日まとめた2012年度予算の概算要求に組織犯罪対策推進費約47億円を盛り込んだ。要求総額は約2348億円(今年度当初予算比4.2%減)。放射線防護車両の整備など東日本大震災の復興・復旧経費約210億円も要求する。
新たに構築するデータベースは日証協のシステムと接続。証券会社が顧客の氏名や生年月日などを日証協経由で照会すると、「組員」または「組員の可能性がある」かがオンラインで即座に分かるようにする。
セキュリティーやプライバシーに配慮し、回答内容は「組員の可能性の有無」に絞る。各証券会社は、組員と同一人物であることを確定させるには、従来通り各都道府県警へ個別に照会する必要はあるが、警察庁は「組員でないことはすぐに分かるようになるので、証券会社は事務効率を気にせず照会できる。結果的に暴力団排除の徹底につながる」としている。
Nシステムは幹線道路や高速道路、重要施設周辺などに設置される固定式が主流で、通行した自動車のナンバーを読み取り、犯罪捜査に使用している。車載型は、通りがかりの車や駐車車両などの把握が可能になる。
組織犯罪対策として車載型を新たに導入するのは東京、愛知、福岡の3都県。自治体予算で導入した10都府県で一定の効果が確認されたため、国として予算要求する。
警察庁は、犯罪組織の拠点周辺に持ち運んで設置し、人の出入りが激しくても車両の移動から人物を特定し、組織の全容解明に役立てる方針。
警察は、盗難自動車の不正輸出を目的とした外国人組織の拠点である自動車集積場「ヤード」の摘発を強化しており、犯行車両と盗難車両の両面の情報を機動的に収集する効果も期待している。