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スマートフォン時代に花開く KDDIがまいていた種

ジャーナリスト 石川 温

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KDDIが17日、夏モデルのラインアップを発表した。全12機種のうち、6機種がスマートフォン(高機能携帯電話)が占め、前日発表したNTTドコモに続いてスマートフォンを本格展開する姿勢を示した。

スマートフォンに生まれ変わったINFOBAR

KDDIの夏モデルのうち、最大の注目はやはり「INFOBAR」だろう。初代モデルから約8年。深澤直人氏のデザインでコンセプトはそのままに、米グーグルのOS「Android(アンドロイド)」を搭載したスマートフォンとして見事に復活した。特に感心させられたのがユーザーインターフェース。そこに、どの端末を触っても代わり映えのしないアンドロイドの雰囲気はなく、全く新しいスマートフォンを操作している感覚になる。画面の動き方も実に心地よい。正直「アンドロイドでここまでできるのか」と驚いたほどだ。操作の気持ちよさでは米アップルの「iPhone」がリードしていたように感じていたが、INFOBARはiPhoneに匹敵する操作性を実現しているように思えた。

一目でわかるデザイン、とことんこだわって作り込まれた操作性など、INFOBARは男性、女性を問わず、幅広い層に支持されるスマートフォンになりそうだ。これまでスマートフォンへの乗り換えをためらっていた人だけでなく、他の携帯電話会社を使う人にも訴える魅力を秘めているといえる。

この夏、携帯電話会社とメーカーがアンドロイドスマートフォンのラインアップを強化するにあたり、顕著になってきたのがメーカーの存在感だ。

「Xperia」という人気ブランドを作り上げたソニー・エリクソンは「Xperia acro」をNTTドコモとKDDIに供給する。シャープはKDDI向けは「ISxx」などの型番で、NTTドコモ向けには「LYNX」、ソフトバンクモバイル向けには「GALAPAGOS」という別のブランド展開をしてきたが、夏モデルからは「AQUOS PHONE」で統一していく構えだ。富士通東芝モバイルコミュニケーションズも「REGZA Phone」をNTTドコモとKDDIに提供している。

メーカーが海外展開していくにあたり、端末ブランドをいかに構築していくかが重要となる。もはや通信会社ごとにブランド名を変えるのはナンセンス。グローバルを視野に入れたメーカーは、統一ブランドを前面に押し出すようになった。

携帯電話会社が「土管屋」にならないために

スマートフォンによってメーカーのブランド強化が加速していくと、通信会社は国内外のメーカーから端末を調達して売るだけの「土管屋」になりかねない。

しかし、KDDIは「iida」というブランドを持っていた。通信会社として、どんなスマートフォンをユーザーに届けていきたいのか。メーカーの戦略に左右されることなく、通信会社の主張を具現化する製品ブランドとして、iidaに存在価値が出てきた。

 例えるならば「スーパーやコンビニのプライベートブランドみたいなもの」(KDDI関係者)といえばわかりやすい。

スーパーやコンビニは系列が違っても、主力となるナショナルブランドメーカーの製品はすべて同じだ。缶コーヒーであったり、カップラーメンであったり。まさしく、XperiaやAQUOS PHONEはどの携帯電話会社でも買える人気商品になりつつある。

それとは別にスーパーやコンビニでは、プライベートブランドとして系列店だけにしか置いていない商品も数多くそろえている。ターゲットユーザーを絞り込んだものや、コストパフォーマンスの高いものなどで、他の系列店との差異化を図る。これらを製造しているのはナショナルブランドメーカーだが、プライベートブランドの商品を企画すれば、携帯電話会社としてユーザーの声を反映し、独自のブランドイメージを構築することができる。

iidaはかつての「au design project」に比べると、スタート当初からコンセプトがはっきりせず、新製品を発表するたびに主張がぶれた感じがあった。だが「今回のINFOBARをiidaを再出発させる契機にしたかった」(KDDI関係者)という。この言葉からもわかるように、市場がスマートフォンへシフトしていくなか、iidaは携帯電話会社の考えが明確に伝わる商品ブランドという位置づけを明確にしていくようだ。

「iida=au design projectの焼き直し」ではない。他のスマートフォンがグローバルモデルや国内メーカーによるマルチキャリア展開モデルが並ぶ中、iidaはKDDIとしての主張を詰め込んだ商品ブランドに生まれ変わろうとしているのだ。

今回、INFOBARは会見会場に来たマスコミ関係者だけでなく、販売現場からも評価が高いという。KDDIと同じCDMA2000方式を使う海外の携帯電話会社で導入される可能性もゼロではないようだ。

かつて西友のプライベートブランドであった無印良品が独立してひとつのブランドを確立したように、iidaもKDDIの枠組みを超える存在になれるかもしれない。

米フェイスブックとの協調も発表

サービス面での注目は、米フェイスブックとの協力関係構築だろう。田中孝司社長が先週、自ら渡米しフェイスブックとの提携に合意。昨年から提供しているソーシャルアドレス帳である「jibe(ジャイブ)」をリニューアルし、フェイスブックの使い勝手を向上させるという。

日本でも注目を浴びつつあるフェイスブック。しかし、「日本のネット文化は匿名が主流なので、実名主義であるフェイスブックは普及しないのではないか」という声をよく聞く。

 そもそもフェイスブックは不特定多数とコミュニケーションするツールではない。実社会において交流のある人と、ネット上で円滑にコミュニケーションする手段といえるものだ。すなわち、普段から本名でやりとりする相手だけとつながるためのソーシャルネットワークという位置づけだ。

フェイスブックを身近なものに例えると何になるのか。わかりやすいのが携帯電話の電話帳だ。ほとんどが実社会で交流がある人たちで、本名で登録するのが一般的だろう。アドレス帳を開けば、現在と過去に自分と交流のあった人たちが並んでいる。

フェイスブックでは、電話帳に載せるのと同じ程度の関係性の人たちが、それぞれ自分のお気に入りの顔写真を掲載し、今何をしているのかといった近況をつぶやいたり、気に入ったウェブ記事や写真を共有したりしている。もちろん、メールや電話番号といった連絡先も記載している。

つまり、フェイスブックはケータイの電話帳をいずれ置き換えてもおかしくない存在なのだ。スマートフォンによって、ダイレクトメッセージやつぶやきでのコミュニケーションが増えてくれば、ますますフェイスブックと電話帳の相性はよくなる。

かみ合いだしたKDDIの3つの歯車

昨年末、KDDIはスマートフォン「IS03」に、ソーシャルアドレス帳のjibeとインターネット電話「Skype」のアプリケーションを搭載した。

jibeとフェイスブック、Skypeが連携することで、「フェイスブックを見ながら、暇そうな人を見つけたらSkypeで長話をする」あるいは「jibeで様々なソーシャルサービスを眺めつつ、メールを送ったりSkypeでチャットしたりする」という使い方が簡単にできるようになる。

今回の協力関係構築は、ここ最近になってフェイスブックが日本で流行する兆しが見えたため突発的に始めたものではない。jibe、Skypeに続くKDDIスマートフォンのコミュニケーションの中核として位置づけるために準備されたものだったのだ。

スマートフォン戦略で大きく出遅れていたKDDIだが、1年半ほど前からまいていた種がようやく花を咲かせようとしているようだ。発表会では、スマートフォン向けの公衆無線LANスポットを10万局設置する計画も明らかにされた。

KDDIのスマートフォンを取り巻く「端末ラインアップ」「コミュニケーションサービス」「ネットワーク」という3つの歯車が11年夏になって、ようやくかみ合い動き始めたようだ。

石川温(いしかわ・つつむ)
 月刊誌「日経Trendy」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。近著に「グーグルvsアップル ケータイ世界大戦」(技術評論社)など。ツイッターアカウントはhttp://twitter.com/iskw226

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