糖尿病治療、副作用仕組み明らかに 東大、腎臓が水を過剰吸収
東京大学の藤田敏郎教授と関常司講師らは、糖尿病の治療薬で起きる副作用のメカニズムを解明した。薬が、腎臓に塩分と水を過剰に吸収するよう促し、足などがむくむ副作用を起こしていた。むくみを抑える新しい治療薬の開発につながる成果。4日付の米医学雑誌「セル・メタボリズム」(電子版)に掲載される。
副作用の仕組みを解明したのは、2型糖尿病の治療薬であるピオグリタゾン(商品名アクトス)。インスリンの作用を強めて血糖値を下げる効果がある一方、約10%の患者で足などにむくみが生じる。
研究グループがウサギなどの動物や人の尿細管の細胞にアクトスを作用させたところ、細胞の塩分と水分を吸収する量が増えていた。薬が、細胞にある「PPARγ」という受容体(たんぱく質)とくっつくことで、吸収を強めていた。薬が作用すると、すぐに吸収が強まるため、浮腫が起きたとみられる。
PPARγができないようにしたマウスの細胞では薬を作用させても吸収は強まらなかった。これまでアクトスが腎臓の吸収を強めることはわかっていたが、数時間程度かけてゆっくりと吸収する機能だけを持つと考えられていた。