西洋美術館に世界遺産「不登録」の勧告 ユネスコ諮問機関
文化庁は28日、6カ国共同で世界文化遺産への登録を目指していたフランス人建築家ル・コルビュジエ(1887~1965)が設計した国立西洋美術館本館(東京・台東)など19件の建築物について、ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)から「世界遺産にふさわしくない」として不登録の勧告を受けたと発表した。
勧告は(1)登録(2)追加で情報提出を求める情報照会(3)推薦書の再提出を求める登録延期(4)不登録――の4種類がある。最終的な登録の可否は6月にパリで開かれる世界遺産委員会で決まるが、イコモスが最も低い評価を出したことで、見送られる可能性が極めて高くなった。
コルビュジエは近代建築の巨匠で、1959年完成の西洋美術館本館は日本で唯一の作品。地上3階、地下1階の鉄筋コンクリート造りで、正方形の外観、らせん状回廊などコルビュジエ建築の特徴が随所にみられる。年間利用者は約57万人。
日本など6カ国は2008年にユネスコへ推薦書を提出したが、09年の世界遺産委では「普遍的価値の証明が不十分」として登録が見送られた。今回は構成する建築物を絞り込むなどした上での再挑戦だった。
国内の世界遺産候補では「平泉の文化遺産」(岩手県平泉町)、「小笠原諸島」(東京都小笠原村)が5月に登録勧告が出ている。