課税取り消し1388億円 10年度、武富士訴訟で大幅増
課税処分を不服として納税者が起こした訴訟で、2010年度に国が27件で敗訴し、計約1388億円の課税が取り消されたことが20日、国税庁のまとめで分かった。09年度の課税取り消し額は約3億円だったが、武富士創業者の長男に対する課税約1330億円について、課税処分取り消しを命じた最高裁判決が確定したことで大幅に増加した。
10年度中に終結した訴訟は354件あり、うち国の全面敗訴は16件、一部敗訴は11件。敗訴した件数の割合は7.6%で、最近10年間で2番目に低かった。
武富士を巡っては創業者から長男に生前贈与された海外資産について、東京国税局が05年に追徴課税。長男側が争った処分取り消し請求訴訟で、最高裁は今年2月、課税取り消しを命じた一審・東京地裁判決を支持した。長男は延滞税を含め約1600億円を納付済みで、国は還付加算金約400億円を上乗せした約2000億円を還付している。
一方、10年度中に納税者が申し立てた異議は前年度比6.4%増の5103件。税目別では消費税が最も多く34%、次いで所得税の27%だった。