中国の電力不足、今夏は最大に 原発40基分足りず
国有送電大手が見通し
【北京=多部田俊輔】中国国有送電大手の国家電網は23日、夏の電力不足が過去最大の4千万キロワットに達する可能性があるとの見通しを明らかにした。原子力発電40基分に相当する。日系を含め多くの企業で操業に支障が出始めており、中国経済に悪影響を与える恐れも出てきた。
中国では発電量の7割以上を石炭に頼るが、石炭価格上昇で発電会社の収益が悪化し、各社が発電そのものを抑制している。政府が物価抑制のために電力料金の引き上げに慎重なことも影響している。これまでの夏の最大の電力不足は2004年の3500万キロワットだった。
電力不足の深刻度には地域的なばらつきがあり、浙江や江蘇、広東省など製造業が盛んな地域を中心に、中国の3分の1超にあたる10省・直轄市以上で深刻な電力不足が起きる見通し。国有大手企業も23日、稼働日の休日への変更や操業時間の短縮を受け入れ、住民用の電力確保に協力する方針を表明した。一部の日系自動車大手の操業にも支障が出始めた。
中国の発電用石炭価格は前年同期比で2~3割上昇したが、電力卸料金の引き上げは数%。五大発電会社の1~4月期の火力発電事業の営業赤字は1300億円に達した。政府は一部地域で卸料金の引き上げを認めたが、発電会社側は不十分だとしている。