65歳まで雇用、企業の5割以下 年金論議に影響も
希望者全員 大企業で2割
厚生労働省は11日、2011年の高年齢者雇用に関する調査結果をまとめた。65歳まで希望者全員が働ける企業の割合は前の年に比べて1.7ポイント上昇したものの、全体の48%にとどまった。13年度以降、厚生年金の支給開始年齢は60歳から65歳に段階的に上がる。一段の引き上げも検討されているが、高齢者雇用の拡大は容易ではなく「年金も仕事もない」というケースが増える恐れもある。
31人以上の社員が働く13万8千社が回答した。定年を過ぎた60歳以上の人にも働く場を確保するため、厚労省は06年度から企業に65歳までの雇用確保を義務付けている。ただ、労使協定などを結べば再雇用ルールを独自で定められる。
このため、65歳まで希望者全員が働ける企業は全体の半分に届かない。規模別でみると中小企業が51%、大企業が24%となっている。高齢者雇用を増やすと若者の採用にしわ寄せが来る可能性が高いため、企業は「65歳までの雇用」に慎重になっている。
調査対象の企業で、ここ1年間で定年になった社員は43万5千人だった。このうち企業に再雇用されたのは32万人(74%)。25%の10万7千人は再雇用を希望せず退職したが、本人が希望したのに再雇用されなかった人も7600人(2%)いた。
年金の支給年齢が60歳から引き上げられれば、退職せず働き続けようと考える人が増える。この先、高齢化が進み、さらに年金支給年齢が上がれば、「年金も仕事もない」人が一気に増える可能性は否めない。
厚労省はすでに決まっている年金の支給年齢引き上げを見すえ、希望者全員が65歳までは雇われるよう、企業に義務付ける検討を進めている。ただ、企業側は強制的な高齢者雇用に反発しており、調整は難航している。