グーグル、SNSにゲーム機能追加 フェイスブック対抗
【シリコンバレー=奥平和行】米グーグルは11日、交流サイト(SNS)「グーグル+(プラス)」にゲーム機能を追加すると発表した。第1弾として同日から一部利用者を対象に、外部のゲーム会社が開発した16作品を利用できるようにした。SNSを通じて遊ぶソーシャルゲームは市場が急拡大しており、この分野で先行する米フェイスブックとの競争が激しくなりそうだ。
フィンランドのロビオ・モバイルの人気ゲーム「アングリーバード」などを提供する。ゲームソフト大手の米エレクトロニック・アーツ(EA)やソーシャルゲームの米ジンガの作品もそろえた。グーグルはSNSの強化に向けて2010年にジンガに出資するなど関係構築を進めてきたが、ジンガはフェイスブックで人気が高い「ファームビル」の提供は見送った。
SNSでは世界で7億5000万人が利用するフェイスブックが先行しており、これまではソーシャルゲームを手掛ける開発会社にとってフェイスブックが事実上、唯一の提供先になっていた。6月末に一部利用者を対象にサービスを始めたグーグル+は既に利用者が2500万人を超えたもようで、有力な対抗馬の登場によりゲーム開発会社の囲い込み合戦が激化しそうだ。
ソーシャルゲームはSNSを通じて他の利用者と交流しながら遊ぶゲームで、SNSの人気コンテンツになっている。基本的に無料で、開発会社はゲームを有利に進めるための「道具」の販売や広告で収益を確保する。米調査会社のイーマーケッターによると、11年の米国における市場規模は前年比28%増の10億9300万ドル(約840億円)に拡大する見通しだ。
この分野の最大手であるジンガは利用者を急拡大しており、7月には新規株式公開(IPO)を申請した。11日に米証券取引委員会(SEC)に提出した書類では3月時点で自社の企業価値を111億5000万ドル(約8600億円)と見積もっていたことを明らかにしている。
これはゲームソフト世界最大手の米アクティビジョン・ブリザード(約120億ドル)に迫る水準で、コナミやセガサミーホールディングスなど国内大手の4000億円前後を大きく上回る。フェイスブックやグーグル+の利用者拡大を背景に、ゲーム各社にとってもソーシャルゲームを強化する必要性が一段と高まりそうだ。
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