手足口病が全国で大流行 乳幼児に発疹、東に広がる
乳幼児の口の粘膜や手、足に水疱(すいほう)のような発疹が現れる感染症「手足口病」が全国的に大流行している。国立感染症研究所が30日までにまとめた全国約3千の小児科定点医療機関の最新データ(7月11~17日分)によると、1機関当たりの患者数は11.0人で、1982年の調査開始以来最多となった。全報告数の約73%を0~3歳児が占めている。
患者数の多い西日本では減少傾向に転じているが、兵庫県以東では福井県を除いて増加しており、流行は東に広がっている。
感染研によると、今年は例年とは異なり「コクサッキーA6」というウイルスが流行の主流。発疹の大きさは5~10ミリで例年の2~3ミリより大きく、手や足だけでなく腕や太ももにも生じる。発症初期に高熱が出ることもあるという。
近年、同じウイルスによる手足口病が発生した欧州では、治った数週間後につめが浮き上がってはがれたり変形したりする事例が報告されているという。感染研は日本でも今後、同様の症状がみられる可能性があるとしている。
手足口病は飛沫や便の接触を通じて感染。保育施設や幼稚園などで集団感染が起こりやすい。基本的には軽症で数日間で治る。感染研の安井良則主任研究官は「感染しても発症しない人もいるので、全員がしっかり手洗いをする必要がある。おむつを適正に処理し、タオルの共用は避けた方がいい」と話す。
まれに髄膜炎や脳炎などの合併症が起こるため、経過を丁寧に観察し、治りかけに高熱が出たり、意識がもうろうとして、ぐったりしていたりしたら注意が必要という。
感染研によると、1機関当たりの患者数は5月から増加。都道府県別の最新データでは佐賀(39.7)、福岡(37.2)、熊本(30.3)、兵庫(26.2)、愛媛(24.9)の順に多かった。〔共同〕