宮城県沖の海底、南北70キロメートルで20メートル以上移動 大震災で
東日本大震災で宮城県沖の南北約70キロメートルにわたる海底が20メートル以上移動したことが、海上保安庁の調査で21日までに分かった。これほど広範囲の地殻変動が観測されたのは世界的にも珍しい。マグニチュード(M)9という巨大地震の大きさをあらためて浮き彫りにした。
調査は、全地球測位システム(GPS)で位置を特定した測量船から、東北沖の海底にあらかじめ設置しておいた「海底基準点」を測量し、震災前のデータと比較した。その結果、宮城県・牡鹿半島から約100キロメートル離れた基準点で、海底が東南東の方向に23メートル移動していた。
海保は3月末にも同様の調査を実施。今回の基準点から南側へ70キロメートル離れた地点の海底が、24メートル移動したことを確認していた。海保は周辺の海域も大きく動いているため、2点間の海底全域で20メートル以上、東南東に移動したと考えている。この海域は東日本大震災の震源域に入る。
東北大の観測でも、海保の観測点より東側の沖合175キロメートルの海底が31メートル移動したという結果が出ており、海保の佐藤まりこ主任研究官は「沖合(東側)の日本海溝に近い海底ほど地殻変動が激しかった可能性がある」とみている。