グーグルを独禁法問題で調査 米当局、ネット検索巡り
【シリコンバレー=奥平和行】米連邦取引委員会(FTC)が反トラスト法(独占禁止法)に関連し、インターネット検索最大手、米グーグルの調査を始めたことが24日、明らかになった。FTCは同社がネット検索における独占的な地位を利用して自社サービスの集客を図っていることなどを問題視しているもよう。FTC調査は、同社の事業展開の足かせになる可能性がありそうだ。
グーグルが24日、自社ブログで調査の通知を23日に受け取ったと公表した。グーグルのフェロー、アミット・シングハル氏は「FTCが何を懸念しているかは不明だが、調査に協力する」と説明。「利用者には多くの選択肢がある」と述べ、「独占的な地位」との見方に反論した。
グーグルは収益の大半をネット検索の結果に関連した内容を表示する「検索連動型広告」に依存している。同社はこれまでもM&A(合併・買収)に際してFTCの調査を受けてきたが、今回は主力の検索事業が調査対象のため、経営に影響が出るとの見方が浮上。24日の米株式市場で株価が一時、前日比1.5%下落した。
米調査会社のコムスコアによると、米国のネット検索市場におけるグーグルのシェアは5月時点で63.3%。米国で米ヤフーや米マイクロソフト(MS)などの競合他社を大きく引き離しているほか、欧州でも高いシェアを握る。欧州でも、欧州連合(EU)の欧州委員会が2010年11月、FTCと同様の調査を始めている。
反トラスト法を巡っては1998年に米司法省がMSを提訴。裁判の過程でMSの会社分割案などが浮上した経緯がある。MSは最終的に会社分割を免れたものの、企業イメージ低下などに見舞われ、その後の事業展開にも影を落とした。米メディアはグーグルへの調査に対し「MS訴訟の再来」との見方も紹介している。