節電・猛暑、試練の夏 7月1日から電力使用制限開始
夏の電力使用制限が関東・東北地方で7月1日から始まる。関西や中部、九州地方でも電力会社が節電要請を本格化。一部のオフィスで出勤時間が繰り上がり、自動車各社が木・金曜を休みにするなど、働き方や暮らしが節電で大きく変わる。29日は東京都心で最高気温が35.1度を記録し、全国74地点で猛暑日となった。電力需要が大きく伸びる中で「節電の夏」がスタートする。
日産自動車とホンダは休業日を土、日曜日から木、金曜日に振り替える「休日振り替え」を30日から始める。トヨタ自動車やマツダは7月1日からとする。部品メーカーを含めると約80万人が影響を受ける見通しだ。
休日をずらすことにともなう従業員への負担を減らすため、ホンダは本社や工場周辺で契約する託児所で、日曜日も子どもを受け入れてもらうようにした。
通勤・通学の風景も変わりそうだ。早朝の出勤が増えるとみて、東京急行電鉄は東横線などで始発列車を午前4時台に繰り上げる。東日本旅客鉄道(JR東日本)は山手線の運行本数を前年に比べ5%削減するなど、運行本数も減る。ただ当初、各社が検討した列車内の設定温度の引き上げは「乗客の健康に影響がある」として多くの会社が見送り、例年並みの26度にする。
29日は山梨県甲州市勝沼で38.5度まで気温が上がり、71地点で6月の気温の最高記録を塗り替えた。東京都心でも今年初めて気温が35度以上となる猛暑日を記録した。
東京電力管内の29日の最大電力需要は4570万キロワットとなり、東日本大震災以降で最大だった。冷房需要が急伸し、前日夜に東電が予想していた電力需要を220万キロワット上回った。
供給予備率は6月に入って最も低い約7.2%。29日朝になって需要見通しを急きょ上方修正し、ピーク時供給力を20万キロワット積み増した。東電は30日の予想最大電力を4500万キロワット、ピーク時供給力を4980万キロワットとしている。
関西電力でも29日、電力の供給力に占める使用率は94.6%に達した。関電は同日、電力需給を「安定」「やや厳しい」「厳しい」の3段階で示す電気予報を始めた。午前8時ごろ当日、午後6時ごろに翌日の見通しをホームページ上で公表し、節電協力を呼びかける。30日の予想は「やや厳しい」だった。