福島1号機、津波前停止巡り東電に説明要求 保安院
経済産業省の原子力安全・保安院は東京電力に対し、東日本大震災で事故を起こした福島第1原子力発電所の地震前後の状況分析などを23日までに提出するよう要請した。1号機は非常用冷却装置が津波前に一時停止したことが判明、手動で止められた可能性もある。地震から約5時間後には炉心が溶けて崩れ落ちるメルトダウンが始まったとみられている。
東電は1号機で、津波の到達前に「炉内圧力が急激に低下したため手動でいったん停止した可能性がある」とみている。冷却装置は津波後に止まったとしていた従来の説明と食い違う。手動操作がその後の事態悪化につながった可能性もある。
1号機は3月11日午後2時46分の地震発生直後、原子炉に制御棒が挿入され緊急停止。午後2時52分に緊急時冷却装置の非常用復水器が自動起動し炉の冷却と減圧が始まったが午後3時ごろに一時停止。その後再稼働したがすぐに止まった。
東電はこうした経緯を5月16日に初めて公表した。保安院は東電に対し、地震や津波前後のデータを分析し、事故原因を明らかにして報告するよう求めた。
東電は17日に、3号機から集中廃棄物処理施設への汚染水の移送を始める。毎時12トン、計4千トンを約2週間かけて移す予定だ。同日午前8時には汚染水の収容先となる人工浮島「メガフロート」も福島県小名浜港に到着した。20日朝に福島第1原発近くに着く。約1万トンを入れられる見通し。3号機タービン建屋とトレンチ(坑道)の水位は16日午前7時から午後5時の間にともに1センチ上昇した。
また17日には原子炉格納容器の一部が損傷しているとみられる2号機の原子炉建屋に初めて作業員が入り、放射線量などの測定を目指す。