沖縄知事「辺野古移設、説得力ない」 防衛相と会談
改めて県外移設求める
米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設を巡り、7日に沖縄を訪問した北沢俊美防衛相と会談した仲井真弘多知事は「移設先が名護市辺野古でなければならない理由は何度聞いても理解できない」と述べ、改めて県外移設を求めた。防衛相は辺野古移設の日米合意を進める考えを示したが、知事は会談後、「できもしないことを言いに来ても国際的な信用をなくすだけ」と突き放した。
約30分間に及んだ会談で仲井真知事は普天間基地の県外移設、嘉手納基地以南の米軍施設の先行返還、日米地位協定の見直しなどを要望。これに対し、北沢防衛相は「政府としては日米合意を追求せざるを得ない」「普天間が動かないと嘉手納以南の返還も動かない」と事実上のゼロ回答を繰り返した。
仲井真知事は、予定時間をすぎて会談を終えようとした事務方を制し、「米海兵隊の機能はアジア・太平洋地域の抑止力、防衛力というのに、移設先が辺野古でなければいけないという説明は何度聞いても分からない」「嘉手納以南の基地縮小はもともと普天間移設と関連はなかった」と強い口調で訴えた。
北沢防衛相は普天間の海兵隊ヘリ部隊は県内のキャンプ・ハンセンやキャンプ・シュワブの陸上部隊と切り離せないと説明したが、議論は平行線をたどった。
会談後、仲井真知事は「防衛省の作製したパンフレットも見たが、とてもあれでは辺野古移設の理由として説得力がない」とばっさり。
辺野古移設が進まないと普天間基地が固定化するとの見方に対しては「それだけは駄目だ。米首脳が普天間は危険だと言っているのだから、事件・事故は必ず起こる。それを放っておいてどうするのか」と表情を険しくした。
北沢防衛相は4回目の沖縄訪問だが、普天間移設の議論は依然かみ合わないまま。仲井真知事は「沖縄に来た目的は何なんでしょう」と皮肉った。