抜歯手術後のミスで感染症 名古屋地裁、歯科医院に賠償命令
抜歯手術を受けた後の不適切な処置が原因で重い感染症にかかったとして、名古屋市の40代男性が歯科医院に損害賠償を求めた訴訟の判決が15日、名古屋地裁であった。永野圧彦裁判長は歯科医院側の過失を認め、約4千万円の支払いを命じた。
判決によると、男性は2004年8月、同市内の歯科医院で親知らずを抜く手術を受けた。その際歯の一部が歯茎に残り、術後に痛みを訴えたが、歯科医は再度の抜歯手術や抗菌薬の投与をしなかった。その後、別の歯科医院で「下顎骨骨髄炎」と診断され、現在も流動食しか食べられない状態が続いている。
永野裁判長は判決で、「男性は感染症にかかる危険性が極めて高い状態にあった」と指摘。手術と骨髄炎の因果関係を認めた上で「歯科医は適切な措置を講じておらず、注意義務違反があったのは明らか」と述べ、約1億8千万円の請求に対し約4千万円の賠償責任を認定した。
男性は判決後、「歯科医のミスが認められたことには満足しているが、歯は元に戻らないのでやり切れない」と話した。 歯科医院側は「判決文を目にしていないため現段階ではこたえられない」としている。