義援金、迅速な送金へ方式見直し 未配分の1691億円
日本赤十字社や中央共同募金会などで構成する東日本大震災の義援金配分割合決定委員会は6日、配分先の決まっていない約1691億円を、死者数などに応じ被災県へ比例配分する方式へ改めることを決めた。県レベルの送金迅速化が目的。しかし、市町村は人手不足などで被災者には全体の約15%、370億円しか届いていない実態も明らかになった。
今回の決定で日赤などはまず1000億円以上を送金できる見込みで、今後の義援金も同様の方式で送金する。
4月7日に決定した第1次の配分方式では、義援金総額を推計。死者・行方不明者は1人当たり35万円、家屋全壊、全焼は1世帯35万円、半壊、半焼は18万円などと被害に応じ各都道県への配分額を決めた。
今回の2次では金額は決めなかったが、1次配分と同様に家屋半壊は、死者や行方不明者、家屋全壊の半分と計算。被害の詳細が判明していない数百億円分を除き、死者数や全壊家屋数などに応じて義援金を逆算して一括配分する。
原発事故で避難している人は第1次配分と同様、家屋全壊と同じ扱いとした。計画的避難区域や緊急時避難準備区域は福島県と調整して対象とするか判断する。
委員会事務局を担当する厚生労働省によると、義援金総額は3日現在で約2514億円。だが日赤などが都道県へ送金したのは約823億円(32.7%)にとどまる。このため、今回の送金で1人当たりの金額は1次分を上回る見込み。
今回の決定で日赤から都道県までの送金は迅速化。ただ県レベルから市町村レベルへの送金は3日現在、9割弱となっているものの、被災者まで届いた義援金は市町村に送金された額の約半分の370億円にとどまる。
同省によると、宮城県は3日現在、約331億円の送金を受け、市町村に約307億円送金したが、被災者には約93億円しか配分していない。岩手県も約102億円の送金を受け、市町村に全額送金したが、被災者へ届いたのは約48億円のみとなっている。