福島原発3号機 高濃度汚染水、再び海へ流出
止水工事で止まる
東京電力は11日、福島第1原子力発電所3号機の取水口近くにあるピットという立て坑に、放射性物質を含む高濃度の汚染水が漏れ出ていたと発表した。タービン建屋などにたまった汚染水がトレンチ(坑道)を経由してピットに流出したとみられる。止水工事で流出は止まったものの、海に流れ出たとしている。
汚染水は取水設備へ電源ケーブルを通す金属製の管から、深さ2.3メートルのピットに注ぎ込んでいた。作業員が11日午前10時半に発見し、一部が海へ流出した。4月20日に確認した時は流出は見られなかった。午後6時45分にコンクリートなどを管に入れたところ、流出は止まったという。
汚染水を採取して放射線量を調べたところ、ヨウ素131が1立方センチメートルあたり3400ベクレル、セシウム134が同3万7000ベクレル、セシウム137が同3万9000ベクレルだった。セシウム134は国の基準の62万倍。また放射性物質の拡散を防ぐフェンスの内部でもセシウム134は国の基準の3万2000倍だった。
経済産業省の原子力安全・保安院は東電に対し、海水に含まれる放射性物質の調査などを指示した。また、福島県や漁業協同組合連合会、関連自治体に伝えたほか、外務省を通じて近隣各国と米国にも報告した。記者会見した細野豪志首相補佐官は「汚染水の新たな問題が生じた。国民、国際社会に迷惑かけないよう取り組みたい」としている。
福島第1原発では4月上旬に、2号機から高濃度の放射性物質を含む汚染水がピットの亀裂から海に流れ出ているのが見つかり、止水工事を実施した。「2号機とよく似た状況だ」(東電)という。
3号機は原子炉の冷却に向けて真水を注入していたが、圧力容器の下部の温度が上昇していた。このため、真水を注入する方式の見直しを検討したばかりだった。
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