生肉食中毒の患者100人に 食肉卸、調理器具使い分けず
焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」でユッケなどを食べた客4人が死亡した集団食中毒事件で、運営会社「フーズ・フォーラス」(金沢市)に生肉を納入した東京都板橋区の食肉卸業者「大和屋商店」がフーズ社とそれ以外の取引先に販売する肉を加工する際の調理器具を使い分けていなかったことが8日、板橋区への取材で分かった。
神奈川、富山、福井の3県警と警視庁の合同捜査本部は納入の経緯や大和屋商店の衛生管理を中心に調べている。捜査本部は8日、業務上過失致死容疑で、新たに同チェーンの富山山室店(富山市)を家宅捜索した。神奈川、富山、福井3県の患者数は8日現在で100人に達し、うち24人が重症。患者が出たのは計6店舗で、判明している利用日は4月17~26日だった。
厚生労働省は1998年に出した生食用食肉の衛生基準に関する通知で、生食用の肉には専用の加工台や器具を用いるよう卸業者や店舗に求めている。
フーズ社は入荷した肉について「ユッケとしての販売を提案された」とし、大和屋商店が生食に使うことを認識していたと主張。大和屋商店側は「生食は想定していなかった」と板橋区の調査に説明、両社の言い分が食い違っている。
板橋区によると、先月28日と30日の立ち入り検査で、市場から仕入れた牛や豚の「枝肉」と呼ばれる頭や内臓、背骨を抜いた塊を約500グラムのブロックに小分けする作業が行われていることを確認した。
大和屋商店の納入先はフーズ社のほかにも、東京周辺の焼肉店やスーパーがあるが、大和屋商店の加工場では取引先に応じた加工台や包丁、まな板の使い分けをしていなかった。〔共同〕