生肉食中毒「生食用の出荷ない」 卸業者、検査時に説明
4人が死亡した焼き肉チェーン店「焼肉酒家えびす」の集団食中毒事件で、店舗に牛もも肉を納入した食肉卸業者「大和屋商店」(東京・板橋)がチェーン運営会社「フーズ・フォーラス」(金沢市)と取引を開始する約1年前の2008年5月、板橋区保健所の検査に「生食用の肉は出荷していない」と説明していたことが13日、同区への取材で分かった。
大和屋商店は09年5月に「ユッケ用のサンプルを送付する」などと記したメールをフーズ社に送信したとされ、同社は「ユッケ用としての販売を提案された」と主張。
神奈川、富山、福井の3県警と警視庁の合同捜査本部の任意聴取に、大和屋商店の幹部は「肉は加熱用として出荷した」と話しているが、従業員は「(肉は)生食用と認識していた」と異なる説明をしており、合同捜査本部は取引の詳しい経緯などを調べている。
板橋区によると、同区保健所は08年5月、精肉店や焼肉店などの衛生状態や設備を検査。食中毒防止の観点から、生食用の肉を販売しているか大和屋商店に聴いた際、同社から「加熱用の肉だけ」との回答を得たとしている。
大和屋商店は東京都内の飲食店やスーパーにも牛肉を納入していたが、事件後の都の調査では、食中毒の発生は確認されていない。〔共同〕