生食用でない肉をユッケに 富山の焼き肉店食中毒
同系列の店で食事、福井でも男児死亡
福井市の焼き肉店で食事した就学前の男児が死亡し、腸管出血性大腸菌O111が検出されていたことが1日、厚生労働省などへの取材で分かった。焼き肉店は、同様に男児が死亡する食中毒が起きた富山県砺波市の「焼肉酒家えびす砺波店」と同じ系列で、福井県などが関連を調べている。
一方、砺波店で食中毒を引き起こしたとみられるユッケは、厚労省が定めた生食用食肉の衛生基準を満たしていなかったことが富山県などの調査で判明。県警は1日、同店に立ち入り、調理手順や肉の保管状況について従業員から事情を聴いた。
厚労省や福井県によると、福井の男児は福井市の「焼肉酒家えびす福井渕店」で食事した。下痢や腹痛を訴えて4月21日に入院。27日ごろ、腎機能が低下する溶血性尿毒症症候群(HUS)で重症になり、死亡した。
家族に異常はないが、福井県は従業員に注文状況を聴き、食事の内容や感染との関係を調査。同県警も従業員から事情を聴いた。
両店は金沢市に本社がある「フーズ・フォーラス」が経営。同社に牛肉を販売している東京都内の食肉卸業者は「生食用としては販売していなかった」と説明。フーズ社は「生食用ではないと認識していた。国の基準に強制力はなく、会社として生でも食べられると判断し、提供していた」と話している。
富山県によると、フーズ社が経営する同県高岡市の店でもユッケを食べた客が症状を訴え、1日現在、砺波店を含め計19人が重症となっている。〔共同〕