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震災復興にドラッカーの「知恵」生かせ

日本に米国外初「センター」開設へ

米ドラッカー研のワルツマン所長に聞く

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20世紀を代表する米経営学者、ピーター・ドラッカー氏の研究成果を発信している米クレアモント大学院大学のドラッカー研究所(カリフォルニア州クレアモント)が日本で「ドラッカーセンター」の開設を計画している。日本企業の革新的な事例を吸収し、ドラッカー氏が唱えた様々な経営手法と融合させて、世界に向けて新たなイノベーションの形を提案していくのが狙いだ。

ドラッカー研究所は同氏の業績と名前を商業的に使用する権利を譲渡された唯一の機関。日本では日立製作所の子会社で人材育成を手掛ける日立インフォメーションアカデミー(東京・品川)と提携、10月には同研究所からライセンスを受けて日本で研修プログラムを販売する。来日したリック・ワルツマン所長に、東日本大震災からの復興に取り組む日本経済の課題と、日本でのセンター設立の目的などを聞いた。

――日本に開設する「ドラッカーセンター」の活動内容は。

「米ドラッカー研の出先機関として、建物とスタッフをもつ拠点を世界で初めて日本に作る。米国で運営している研修プログラムやフォーラム、ワークショップなどを包括的に提供する海外初のセンターだ。ドラッカーの教えを日本の文化に合う形で紹介していく。同時に、日本企業の革新的な経営事例を吸い上げて米国に持ち帰り、世界に向けて発信したい」

――米国ではどのような活動をしているのですか。

「企業研修プログラム『ドラッカーカリキュラム』をインドや中国でライセンス展開しており、日本では日立インフォメーションアカデミーが10月から提供する。体系的な研修以外にも、ワークショップ形式など様々なプログラムがある。中学・高校生や非営利組織(NPO)向けのフォーラムなども実施している」

「ドラッカーの『知恵』を生かし、現代の様々な課題の解決策を提供することが我々の使命だと考えている。米メディアなどに記事を掲載し、『グーグル対アマゾン』といった最新の話題を独自の切り口で解説したり、インタビュー形式のラジオ番組を制作。ブログツイッターなどソーシャルメディアを通じた情報発信にも力を入れている」

――なぜ今、日本市場を重視するのですか。

「日本は大地震と津波、そして原子力発電所の事故という前代未聞の惨劇に見舞われた。どこへ向かうべきか、どう社会を再構築すべきか、日本はいま熟考の時期にある。ドラッカーが常に大切にしていたのは『健全な社会』の構築だ。そのために効果的で責任を果たす組織が必要だと説いた。また『一人ひとりが公の善のために具体的に行動することが世の中を変える』と世界中に伝えてきた。今、センターを作るなら、日本をおいて他に適した国は考えられない」

「まさに時機が到来したといえる。ドラッカーは6年前に亡くなったが、日本にはドラッカーを学ぶ社会的なニーズがある。ドラッカーブームで著作や関連本が読まれているのはうれしい状況だ。日本側に興味があるならば、我々は彼が提唱してきた価値を提供する用意がある。大事なのは我々が日本の人々の役に立てるかどうかだ。答えがイエスなら、実行する好機だといえる」

――クレアモント大にはイトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊氏の名を冠したピーター・F・ドラッカー・アンド・マサトシ・イトー経営大学院がありますね。

「ドラッカーセンターは経営大学院とも連携するだろう。クレアモントはドラッカーがほとんどの著作を書いた場だ。センターを通じて従来より直接、日本に情報を提供していきたい。長年研究を共にしたドラッカー研究の第一人者、ジョー・マチャレロ教授が開発したカリキュラムを提供するため日立と連携したのは大きな一歩だ。今後、我々のコンテンツを日本で提供していくうえで、日立以外の企業も含めて協力関係を検討していく」

――ドラッカー氏が健在だったら、日本の政府や東京電力のマネジメントをどう評価したでしょうか。

「(政府や東電に)批判があるのは承知している。だが、ドラッカーがもしこの場にいたら『どんな学びが得られるかを真剣に考えるべきだ』と言うだろう。批判ではなく事態を改善していくことが大事だ。そして(事態が悪いなかでも)良い事例に目を向けただろう」

「政府は別として市民レベルや民間企業では素晴らしい対応が見られた。ドラッカー研の理事である飯島延浩・山崎製パン社長と話をしたが、同社の震災対応には目を見張るものがある。物流網を駆使し、被災地に大量の物資を迅速に提供した。マネジメントが機能した好例といえる」

――日本人の"強み"とは何ですか。

「1959年に初来日した時、ドラッカーが心に深く刻んだことがある。それは日本人の精神力の強さだ。敗戦後の悲惨な状況にもかかわらず、日本人は『自分が社会に貢献する』という意欲にあふれていた。そのことにドラッカーは感動し、こう予言した。日本は立ち上がり世界有数の経済大国になる、と」

「日本の金融制度や経済政策を研究した結果としてドラッカーがそう確信したのではない。市井の人々の態度こそが根拠だった。1990年代の『失われた10年』についていえば、ドラッカーは日本人がかつての精神を取り戻すべきだと考えていた。今回の恐ろしい災害は、日本人が精神の力を再発見する好機だ。悲惨な状況から何らかの良い結果を生みだすことが必要だ」

――米国でのドラッカー人気には浮き沈みがありますか。

「はやり廃りというような波は見られない。むしろ、あらゆる企業経営にドラッカーの教えが水のように染み渡っている。ジェームズ・C・コリンズは著書『ビジョナリーカンパニー』(日経BP社)でプロクター・アンド・ギャンブルやジョンソン・エンド・ジョンソン、ヒューレット・パッカードなどの有力企業を取り上げ、企業の"DNA"を調べた。そして『どこをみてもドラッカーがいる』と結論づけた」

「若い世代の経営陣は、それがドラッカーの教えだと気づかずに自社の経営方針を受け継いでいる。一方、気づいている人も多く、最もビジネスに影響を与えた思想家ランキングでは常にドラッカーが上位に入る。亡くなった人がランキング入りするのは珍しい」

――とはいえ米国の経済や企業経営も激しい浮き沈みを経験している。

「もちろん近年、ドラッカー不在の時代があったことは否めない。米金融危機の際、広く産業界に『反ドラッカー的』な振る舞いが見られた。従業員や顧客、地域社会といった価値を無視してまで強欲に目先の利益を追求した結果、米国だけでなく世界中の経済が打撃を被った。ドラッカーを知らないか、知っていて無視しているのかは不明だが、学ぶべき企業は多い」

――「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(ダイヤモンド社)は読みましたか。

「正直に言って、ドラッカーは『もしドラ』を気に入ったに違いない。もしドラは1つのイノベーションだ。マネジメントという言葉を聞いたことがない読者に、道具としてのマネジメントの考え方を提供した」

「野球のマネジャーがテーマなのもいい。ドラッカーはテレビを持たないことで知られていたが、野球が大好きで、ワールドシリーズの1週間だけはテレビをレンタルして野球をみていたんですよ」

(聞き手は産業部 高橋香織)

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