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ジム・ロジャーズ氏「IMFは無用な存在」

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90分にわたるCNBC対談収録が終了寸前にロジャーズ氏が突然「これだけは言っておきたい」とストロスカーン前専務理事のスキャンダルに揺れる国際通貨基金(IMF)について語り始めた。

「私はその時、件のNYのホテルに居たわけではないから、何が起こったかは知らない。ただ、IMFは数十年にわたり間違いを犯している。我々(私、君、そして視聴者諸氏もだ)にカネ出せといって、それを官僚化した組織がばら撒いている。南欧諸国も破綻させるべきなのに救済資金を投入して問題を悪化させている。何かをしようとしているが、もはや不必要な組織で、ないほうが世界は良くなる」

2400名のスタッフを抱えるIMF本部ビル内はワシントンDCの中でも"治外法権"地域同然。そこでは世間とは異なるルールが支配していた。「上司と部下の親密な関係をハラスメントとは見なさず」との内部規則の一部をNYタイムズは伝えている。プロジェクトチームの長期海外出張が日常茶飯事の組織内には「ロマンスの土壌」があった。女子職員の訴えは曖昧に処理され「職場でスカートをはくのもはばかられる」とまで書かれている。

しかしいま、本当に問われているのはIMFそのものの存在意義であろう。

1944年ブレトンウッズ体制の中で「最後の貸し手」として外貨準備不足の国際収支赤字国へ短期救済融資を目的に作られた国際通貨基金IMF。しかし融資の条件として景気後退期に緊縮財政や高金利政策を課す傾向があるので憎まれ役にもなりやすい。その最たる例がアジア経済危機であった。ロジャーズ氏の苦言も現地にいまだに残るアンチIMFセンチメントを映している。

当時、韓国がIMF管理下に置かれ伝統的儒教国の終身雇用、年功序列が槍玉にあがり、整理解雇制が法制化されたので、労働者から「IMF=I'M Fired(私はクビになった)」と揶揄(やゆ)されたものだ。

その反省から2001~02年に勃発したアルゼンチン危機に際しては融資条件を緩めすぎてモラルハザードを生む結果となる。

その後はさしたる危機=出番もないまま07年にストロスカーン氏が専務理事に就任。彼の最初の仕事は組織のリストラであった。IMFの歳入源は経済危機国への融資から生じる金利収入なのだ(それに最近は投資勘定に保有する資金の運用収益、そして保有金の売却益も加わったが)。

そして彼が一躍頭角を現したのが翌08年のリーマンショック。すぐさまIMF加盟国から追加出資を引き出し、中国、インドからの協力も取り付けた。この頃から彼の大胆な意思決定能力、強い政治力、そして優秀なエコノミストとしての才能に対する評価、さらに加えて「女癖の悪さ」も急上昇。女性エコノミストとの関係など組織内では公然の事実であった。

そこに降って湧いたギリシア危機。EU首脳たちが利害不一致で初期対応の決断が遅れ、欧州中央銀行(ECB)はIMFの介入を断固拒む中で、持ち前の政治力を駆使し欧州連合(EU)-IMF協調救済案をまとめ上げた。特に彼はフランス人であるにもかかわらず、"マダム・ノー"の異名を取る独メルケル首相でさえ一目置く存在になったことで、救済する国とされる国のかけ橋的存在になったことは特筆に値すると言っていい。サルコジ大統領に欠ける"知性"を持ち合わせていたからだ。それゆえストロスカーン氏は、次期フランス大統領選挙出馬が噂され国内では最強の対立候補とされていたほどだ。

なお、彼のIMF流ギリシャ救済策には異論も多い。流動性(liquidity)危機と位置づけ、まずは巨額の救済資金投入。同時に超緊縮政策を最優先順位とする。しかし危機の根源は国の債務弁済能力(solvency)ゆえ、債務再編こそ焦眉の問題なのだ。さらに第一次ギリシャ救済策が事実上失敗したにも関わらずアイルランド、ポルトガルにも同様の対応を続け、ギリシャへの第二次救済策の発想も変わらない。

最後に後継人事だが、世銀トップは米国人、IMFトップが欧州人という不文律の範囲内で、ラガルド仏財務相が濃厚。しかし新興国を含めた世界各国からの出資金を欧州出身者が欧州財政危機のために使うという事に関する反発も無視できない。新興国からの候補者も噂されるが現国連事務総長の韓国人、潘基文氏への欧米社会からの強い風当たりを見るにつけ、現実の厳しさも感じざるを得ない。ちなみにシンガポールでは黒田アジア開銀総裁の名前も"雨夜の品定め"で挙がっていた。

豊島逸夫(としま・いつお)
 ワールド ゴールド カウンシル(WGC)日韓地域代表。1948年東京生まれ。一橋大学経済学部卒。三菱銀行(現・三菱東京UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて貴金属ディーラーとなる。同行で南アフリカやロシアなどから金を買い、アジアや中近東の実需家に金を売る仲介業務に従事。さらにニューヨーク金市場にフロアトレーダーとして派遣され、金取引の現場経験を積む。その後東京金市場の創設期に参画。ディーラー引退後、WGCに移り、非営利法人の立場から金の調査研究、啓蒙活動に従事。金の第一人者であり、素人にもわかりやすく金相場の話を説く。

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