オリンパスの12年3月期、純利益2.4倍の180億円
オリンパスは17日、2012年3月期連結純利益が前期比2.4倍の180億円になる見通しだと発表した。デジタルカメラの販売が日本やアジアなどで伸び、映像事業の営業損益が2期ぶりの黒字に転換する。東日本大震災による部品不足で100億円の減益要因が生じるが、固定費削減など合理化効果を織り込んで増収増益を確保する。同社は震災の影響が読み切れないとして、これまで業績予想の開示を見送っていた。
売上高は9千億円と6%増える見通し。映像事業の売り上げが1500億円と14%伸びる。今期のデジカメ販売は950万台と17%増加。薄型で高倍率ズームを搭載したコンパクト型など4月以降に投入した新製品が好調だ。高価格の一眼型「PEN」シリーズも台数が6割増を見込む。部品不足で一部製品の納入が来期にずれ込む医療事業も1%増収を確保する。
経常利益は58%増の350億円の見通し。主因は映像事業の営業損益が10億円の黒字(前期は150億円の赤字)に転換することだ。映像事業の営業損益はリーマン・ショックを受けた金融危機後、赤字と黒字を繰り返してきた。今期は「コストがかさんでいた米国で販管費10億円以上の削減を計画する」(マイケル・ウッドフォード社長)など合理化を本格化。損益分岐点比率が改善するなか、デジカメの販売が伸びることで収益押し上げ効果が高まる。
震災の影響は連結ベースの売上高を200億円、営業利益で100億円それぞれ押し下げる。特に部品不足が顕著な医療事業では80億円の減益要因となる。ただ内視鏡の生産回復の遅れを外科手術に使う器具の伸びで補い、医療事業の営業利益は微増を見込む。現時点で未定とする年間配当は、前期(30円)以上となる可能性が高い。
今期は震災の影響を吸収して収益増を見込むが、純利益の水準はリーマン・ショック前の08年3月期の約3割にとどまる。収益回復は道半ばといえ、映像事業の黒字定着や内視鏡事業依存からの脱却など課題も残っている。