ソフトバンク5500億円調達 買収資金借り換え
ソフトバンクが今秋までに国内外の金融機関約20社からの協調融資で5500億円を調達する見通しだ。2006年に携帯電話事業を買収した際、事業収益や資産を担保とした「証券化」の手法で調達した資金を借り換える。携帯電話事業で稼いだ資金を他の事業に回せない条件での調達だったが、借り換えで資金の使い道を自由に決められるようになる。
協調融資は期間3年超の無担保で金利は1%台となりそう。みずほコーポレート銀行が主幹事となり、三井住友銀行やドイツ銀行などが参加する。証券化で調達した資金は金利5%台と高かった。借り換えで返済期限などの条件も変わり、支払利息は年100億~200億円程度減る見込み。米調査会社ディールロジックなどのデータによると、日本企業向けの円建て協調融資としては今年最大となる見通しだ。
ソフトバンクはボーダフォン日本法人の携帯電話事業を買収した際、事業が生み出すキャッシュフローを利払いや返済にあてる条件で1兆3660億円を調達した。同事業子会社のソフトバンクモバイル(SBM)は業績が好調で通信料収入を原資に返済を進めており、4月末の残高は6269億円となっていた。返済期限は最長13年間だったが、協調融資に手元資金をあわせ完済する。
11年3月期はグループで稼ぐ資金を示す連結営業キャッシュフローの約7割をSBMが計上した。それでもグループの資金管理ではSBMの稼いだ資金を自由に使えなかったが、借り換えにより、今後は財務体質の安定性が高まる。2月には日本格付研究所(JCR)が11年ぶりとなるシングルA格に引き上げており、今後さらに格上げの可能性もありそうだ。
ソフトバンクは「15年3月期末までに純有利子負債ゼロにする」などの条件を達成するまで「大規模投資を実行しない」(孫正義社長)としている。当面は数千億円単位のM&A(合併・買収)は見送りを続けるもようだが、設備投資や資本提携に徐々に積極姿勢に転じるとみられる。
関連企業・業界