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世界で戦うサムスン 「要求が高い」日本での現地戦略

ジャーナリスト 石川 温

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スマートフォンを中心にした携帯電話の夏商戦が熱を帯びてきた。数多くあるラインアップのなかで人気を博している機種の一つが、韓国サムスン電子の「GALAXY S II」。発売に先立ち6月10日から予約を受け付けているが「(発売当日分は)予約でいっぱいで、次回の入荷は未定」(都内家電量販店)という。日本市場にスマートフォンで着実にシェアを広げるサムスンに、韓国で話を聞いた。

日本市場開拓の鍵となったドコモとの関係

携帯電話メーカーでガリバー的な存在だったノキア(フィンランド)が衰退を続けるなか、サムスンは全世界の販売台数でトップの座を狙えるところまできた。2010年の全世界販売台数は2億8000万台を突破。シェアではノキアが32.6%で依然トップだが、サムスンも20.2%と差を詰めている。ノキアは20~30ドルの安価な携帯電話でアフリカなど新興国市場に強いため販売台数トップを確保しているが、いずれグーグルのOS(基本ソフト)「Android(アンドロイド)」を搭載したスマートフォンが全盛となれば、サムスンのシェアは今まで以上に高まることだろう。

日本市場では、昨年発売したスマートフォン「GALAXY S」が大ヒット。後継モデルが6月23日に発売となる。グローバルメーカーとしての地位を築いたサムスンが、日本でも受け入れられた理由はどこにあるのか。サムスン電子の無線事業部東南アジア輸出グループ長である趙洪植氏は「販売で言えば携帯電話会社の力が大きい。(端末が売れたのは)製品の良さだけではなく、NTTドコモのおかげといえる。携帯電話会社と良好な関係を築くことで、消費者にも選ばれるようになる」と語る。

サムスンの強みは、携帯電話会社からの要求を受け入れ徹底的にカスタマイズした製品を納入できる点にある。その一端はソウル市内にあるGALAXYのショールームで見ることができる。GALAXY S II用の本体カバーには、携帯電話会社ごとに形状の違いが作り込まれている。電池カバーはグローバルモデルはつや消しとなっているのに、日本向けは「携帯電話会社の意向もあって、光沢仕上げになっている」(GALAXY S IIの開発担当者)

他社との差異化の鍵握るグローバル体制

シャープも夏モデルの「AQUOS PHONE」で複数の携帯電話会社に端末を供給するマルチキャリア展開をしており、国内の携帯電話会社ごとに本体デザインを変えている。それがサムスンはグローバルレベルで携帯電話会社各社の意向に合わせてカスタマイズをしているのだ。

開発担当者によると、世界を見渡しても特に日本の携帯電話会社は要求レベルが高いという。

その代表例が品質だ。製品の検証作業も「他国向けに比べて日本向けは大変」(開発担当者)で、部材や検証にかかるコストも他の携帯電話会社向けより高くなる。

機能メニューの日本語の使い方でも、携帯電話会社の要求は厳しい。そこでサムスンは日本にいるデザインチームのメンバーを開発に加えることで、自然な言葉遣いのメニュー画面を実現しているという。

短期間の製品開発を可能にする仕掛けとは

10年10月に発売したGALAXY Sはハイスペックで高精細なディスプレーが日本の消費者に支持された、とサムスンは分析してる。一方で当時はNTTドコモのスマートフォンのラインアップが限られ、10年春発売のソニー・エリクソンのXperiaくらいしかライバルがいなかったから売れたという側面もある。

この夏商戦は日本メーカーが相次いで新製品を投入しており、ドコモ端末だけでも激戦が予想される。サムスンはどう日本メーカーと差異化し、「サムスン」のブランドイメージをどのように構築していくつもりなのだろうか。

「ひとつはグローバルモデルを持っている点が他社と差異化できる点になると思う。現時点でここに優位性があるが、いずれ他社も同じ水準になってくるだろう。携帯電話会社の意向に沿ってローカライズを手がけていることは、半面バージョンアップが難しくなっていく面もある。携帯電話会社とユーザーの両方の声を聞きつつ、他社と同じものではない差異化を図ることが重要だ」(趙氏)

現状、アンドロイドはバージョンアップの頻度がとても多い。新しいバージョンが公開されてから、製品を出荷するまでの時間が本当に短くなっている。メーカーにとっては短期間で製品を開発することが、差異化を図るうえでのカギとなっている。

サムスンには、グーグルが自社ブランドで発売したスマートフォン「NexusS」の製造も手がけるなど、他社よりもOSの開発環境を早く入手できるというアドバンテージがある。

しかも韓国だけでなく米国や中国など、開発拠点を世界各国に分散設置。時差を活用して昼間の拠点に開発を担当させ、グローバルに24時間開発を継続する体制を整えてきた。

自社開発部品の競争力も差異化要因に

世界を相手にビジネスを手がけることによって、様々なニーズをつかんでいるのもグローバル企業ならではのメリットだ。「世界規模で展開していると、各国の携帯電話会社の考えを把握できる。それぞれの携帯電話会社が何を計画しているかつかんで集約することによって、未来のトレンドを読めるようになる。米国、欧州とも付き合いがあるので、その傾向がよくわかる。(その点は日本メーカーよりも)優位なポジションにいるのではないか」(サムスン電子無線事業部の金松信統括部長)

GALAXY S IIは、「Super AMOLED Plus」と呼ぶディスプレーやデュアルコアチップなど自社で開発した部品を使うことが他社との差異化のポイントになっている。社内でデバイス事業を手がけていることが大きな強みになっているように見えるという問いかけに、金氏はこう答える。「自社のプロセッサやディスプレーにこだわっているわけではない。製品コンセプトを実現する上で、最適なデバイスが自社製だっただけ。(端末事業と半導体事業は別で)プロセッサは米アップルにも売っているので競争関係にある」――。

とはいえ、スマートフォンの競争がアンドロイドという共通プラットフォームで展開されているなかで、他社と差異化できるデバイスを持ちながらグローバルで事業を展開できることが、有利に働くのは間違いない。

シェア拡大のため新興国の開拓が急務

サムスンの今後の課題は、さらなるシェア拡大のためにローエンドのスマートフォンへ進出することだろう。例えば中国。現地メーカーが約1000元(1万2500円程度)のアンドロイド・スマートフォンを販売しており、それが売れている。サムスンが現地で販売するスマートフォンの価格は2000元(2万5000円程度)以上が中心だ。「低価格はスマートフォンは、厳しい面もあるが(本格的に)取り組むつもり。(サムスンも中国などで製造しているため)物流コストは同じ。開発費と材料費の違いで価格に差が出てきてしまう。学生が使えるような安価なスマートフォンを目指したい」(趙氏)

世界的にスマートフォン市場が広がるなか、ローエンドでどこまでシェアを伸ばせるか。サムスンの挑戦が始まる。

石川温(いしかわ・つつむ)
 月刊誌「日経Trendy」編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。近著に「グーグルvsアップル ケータイ世界大戦」(技術評論社)など。ツイッターアカウントはhttp://twitter.com/iskw226

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