東電支援案、民主に反対論 国会審議の波乱要因
民主党が12日に開いた「原発事故影響対策プロジェクトチーム(PT)」で、原発事故を巡る政府支援策への反対論が噴出し、紛糾した。「電気料金値上げは認められない」「東京電力の負担に上限を設けるべきだ」などの意見が相次ぎ、PTは議論をいったん打ち切った。再開後に政府側が「将来的には東電の負担に上限を設けることもあり得る」との考えを示し、荒井聡座長が一任を取りつけた。
民主党のPTには海江田万里経済産業相も出席し、政府案の決定に先立ち党側にスキームを説明した。出席者からは「枝野幸男官房長官は料金に転嫁しないと主張していたのに、転嫁できるようになっている」など、利用者への負担の転嫁を避けるべきだとの意見が相次いだ。補償財源については「エネルギー対策特別会計の剰余金を活用すべきだ」との声も出た。
「事業者に責任を押し付けるだけでいいのか」と、国の責任を明確にする必要があるとの要求もあった。
菅直人首相に近く、前国家戦略相の荒井座長が政府案を決める閣僚会議の時間に合わせて一任を求めたが、出席者の反対がおさまらないため、いったん休憩した。午後7時に再開した会議で荒井氏が「1日遅らせたことを重く受け止めてほしい」と訴え、今後の対応について座長一任を取り付けた。
政府案への異論は小沢一郎元代表に近い議員だけでなく、党内の幅広い層に及んだ。政策決定の「内閣への一元化」を掲げる民主党政権で、党の了承は法案の閣議決定に必要はない。このため「国民負担を伴う問題に、発言権がない」との不満が党内にたまっており、最終盤で異論が相次ぐ事態となった。
PT幹部は「造反議員が出ない保証はない」と指摘する。法案の採決で党議拘束は事実上、かかっておらず、反対議員が続出することは否定できない。野党は政府案を精査し、民主党内の状況を見極めて賛否を決める構えだ。こうした情勢をにらみ、関連法案提出は来月にずれ込むとの見方も政府・与党内に出ており、国会審議の行方は不透明となってきた。
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