ベトナムで2週続けて反中デモ 南シナ海問題で抗議
【ハノイ=岩本陽一】ベトナムの首都ハノイと南部の商都ホーチミンで12日、市民らが同国では異例のデモ行進を行い、南シナ海の領有権問題で強硬姿勢を鮮明にしている中国に抗議した。反中デモは2週連続。ベトナム海軍は13日に南シナ海で実弾演習を予定しており、中国の反発が強まる可能性がある。
ベトナムではデモ行進は厳しく制限されているが、南シナ海問題を巡っては公安当局などが一定の規模で容認しているもよう。国内では中国製品の不買運動が広がり始めるなど、反中ムードが急速に強まっている。
南シナ海の領有権問題に関する中越間の対立は先月末から激化。5月26日にベトナムの資源探査船が中国船に調査ケーブルを切断された。同31日にはベトナム船が中国船から威嚇発砲を受け、今月9日には中国船が再度、ベトナムの海底探査を妨害した。
ベトナムのメディアによると13日の軍事演習は「あらかじめ予定された通常行動の一環」とされるが、南シナ海での主権を主張する中国との対立が先鋭化する可能性もある。ベトナム政府は両国関係がさらに悪化するのを避けるため、米国の仲介に期待しているとされる。