福島第1、汚染水浄化を停止 「再開 見通し立たず」
東京電力は18日、福島第1原子力発電所の汚染水浄化装置を未明に停止したと発表した。放射性物質のセシウムを除去する装置の放射線量が高まり、想定の1カ月後を待たずに交換基準に達したため。水漏れなどの警報は出ていないが、東電は「再開の見通しは立っていない。1週間以内に対応する」と説明。原子炉の冷却に処理水を再利用する「循環注水冷却」を18日にも予定していたが、先送りは避けられない。
最優先に取り組む汚染水対策が17日午後8時の処理開始から早くも滞った。米キュリオン社製のセシウム吸着装置で、1時間当たり4.7ミリシーベルトの放射線量を計測。18日午前0時54分に運転を停止した。午前3時すぎから低い濃度の汚染水を流して、点検している。
吸着材は当初、1カ月に1度の交換を考えていた。東電は18日「放射性物質を含む汚泥が流れ込んだか、近くの配管の(放射線の)影響も考えられる」としている。ただ事故収束時期を記した工程表の遅れにはつながらないとの認識を示した。
また海江田万里経済産業相は18日の記者会見で「しっかり安全性を確保し、安定的に回っていくようにやってほしいと東電の幹部に話した」と述べた。「試運転の時間が若干短かった」とも指摘した。
汚染水を一時的にためる移送先は満杯になりつつある。処理が停滞すれば、6月末にも原子炉から漏れる汚染水が再び敷地や海洋へあふれ出す懸念が出ている。
浄化装置は米社や仏アレバ社製の装置で放射性物質を取り除く。油分や塩分を除く機器もつなげ、真水に近づけてタンクにためる。1日に1200トンの汚染水を処理できる能力がある。
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