「なぜかお金が貯まる人」の"貯め習慣"
年収差は30万円、なのに貯蓄は380万円差
■100円単位の無駄遣いが年間では大きな差に!
あなたは「給料が安いから、おカネを貯(た)められない」と考えていませんか? ところが日経WOMANの読者アンケートによれば、「貯め上手さん」と「貯め下手さん」の平均手取り年収はどちらも300万円台。その差は約30万円にすぎなかった。だが、総貯蓄額の平均額は約380万円も差があった。
「家計簿を比較すると、ほぼすべての費目で、貯め下手さんのほうが微妙に出費が多い。この微妙な差が積み重なって、大きな違いになっているのです」と、ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さん。
両者の違いを詳しく見てみると、貯め上手さんの48.5%が、貯蓄用、生活費用などと、目的別に預金口座を分けて管理していた。ペットボトル飲料を買わずに水筒を持参したり、交通費節約のために歩いたりと、細かな節約もいとわないことが分かる。「貯め上手さんは将来のプランが明確な人が多い。貯める目的があるから、節約にも積極的なのでしょう」(丸山さん)
一方、貯め下手さんは62.4%が目的別に口座を分けておらず、34.2%が予算を立てずに何度もお金を引き出している。これでは常に貯蓄が取り崩され、「貯めているのに殖えない」状態になってしまう。行動パターンを見ても、各種の明細をチェックしていない人が多いなど、ややズボラな一面もあるようだ。
「まずは生活習慣を見直しましょう。無駄は100円単位で減らし、大切なところにだけお金をかければ、貯め下手さんもすぐ、貯め上手さんに変身できますよ!」(丸山さん)
また、貯め下手さんの中には、「家計簿をつけているのに貯まらない」という人も少なくない。これについて丸山さんは「家計簿が単なる"記録"になっていませんか? 必要なのはお金の流れをつかむこと。月初(給料日)に費目別の予算を立てて月末(次の給料日前)に見直し、翌月に生かすところまでやりましょう」とアドバイスする。
違いは日々の小さな心がけ。あなたも早速、"貯め習慣"を取り入れてみよう。
貯め下手さんはこんな人 「プチ無駄遣い」が多い
「使うか分からないけど、今買わなきゃソン!」
■意識
将来像は未定…
・10~20年後の働いている自分をイメージできない…45.8%
・3~5年後のマネープランがない…78.9%
・お金に対して苦手意識がある…66.9%
・今、1ドル=何円か分からない…32.9%
■マネー管理
細かいことは気にしない
・家計簿を付けていない…52.%
・カードや公共料金の明細は保存しない…29.3%
・銀行残高はこまめにチェックしない…35.2%
・生活費用、貯蓄用などと、目的別に預金口座を分けていない…62.4%
・予算は立てず、手持ちのお金がなくなったらお金を下ろす…34.2%
欲しいものは高くても買う
・買い物が好きだ…88.7%
・バーゲンやアウトレット以外でも洋服を買う…66.7%
・お金がないときも自分にご褒美を買う…62.7%
・節約は苦手だ…86.4%
・年会費のかかるクレジットカードを持っている…41.5%
■ストレス解消法
・おしゃれ
・友人や同僚との飲み会
・衝動買い
■得意なこと
・新商品を見つけること
・出会いの場所に出かけること
■よく現れる場所
・コンビニ
・デパートのファッションフロア
・リラクゼーションサロン
■性格
・「限定モノ」という言葉に弱い
・計画するより先に行動
・将来よりも今を楽しむ派
【貯め下手さんへ丸山さんのアドバイス】
普段の性格もマネー管理も行き当たりばったり!?
「もっと貯められるはず」と悩んでしまうのは、お金の流れを把握できておらず、生活にムダが隠れているから。また、「住宅以外のローン」の平均額が3万1267円と高い! エステやクジットカードの分割払いには注意しましょう。毎月の予算を立てる、カードや公共料金の明細を見直すなど、日常的にマネー意識を高めることから始めてみましょう
【貯め上手さんはこんな人 将来のプランが明確】
「これは本当に必要な買い物? よ~く考えて!」
■意識
将来像が描けている
・10~20年後の働いている自分をイメージできる…65.7%
・3~5年後のマネープランを持っている…42.5%
・お金に対して苦手意識はない…64%
・今、1ドル=何円かだいたい言える…80.6%
■マネー管理
・お金に苦手意識を持たず頻繁にメンテナンス
・家計簿をつけている…63%
・毎月の給与明細は必ずチェック…89%
・カードや公共料金の明細は保存…85.9%
・銀行の残高はこまめにチェック…77.8%
・毎月一定額を貯蓄している…79.3%
・目的別に預金口座を分けている…48.5%
・貯める目的があるから、節約も楽しい!
・ペットボトル飲料は買わない…56.6%
・洋服はアウトレットやバーゲンでまとめ買い…56.6%
・食材は1週間分まとめ買い…60.3%
・交通費節約のため、なるべく歩き、自転車を使う…61%
・手数料のかかる時間に銀行ATMを使わない…86%
■ストレス解消法
・自宅でゆっくりお茶を飲む
・節約したお金でプチ旅行
・アウトレット巡り
■得意なこと
・料理や小物を手作りすること
・収支を合わせること
■よく現れる場所
・100円ショップ
・閉店間際のスーパーマーケット
・図書館
■性格
・何事もコツコツ努力
・どちらかというと慎重派
・仕事もプライベートも「そこそこ」がいい
【貯め上手さんへ丸山さんのアドバイス】
貯める目的があるから節約にも積極的
アンケート結果を見ても(上参照)、毎月一定額を貯蓄しており(79.3%)、年間貯蓄額も113.8万円と高いです。
銀行残高や給与明細をこまめにチェックし、お金の流れをつかんでいるためか、マネーに対する苦手意識も少ないようですね。その結果、食材や洋服のまとめ買いといった節約行動が自然に身につき、ますます貯まる好循環になっているようですね。
この人に聞きました
節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、消費生活アドバイザー。22歳で節約の道に目覚め、以降4年間で600万円を貯金。テレビや雑誌、講演などで活躍中。著書に『節約の作法』(ソフトバンククリエイティブ)など。Webサイト『らくらく節約生活。』 http://www.maruyama-harumi.com/
(日経ウーマン 久保田智美)
[日経WOMAN別冊『いま、一番頼れるお金が貯まる本!』の記事を基に再構成]