福島原発の汚染水浄化 貯蔵期限迫り、綱渡り続く
循環冷却に遅れ
東京電力福島第1原子力発電所で18日止まった汚染水浄化装置は、海洋汚染を防ぐためだけではない。原子炉を安定した状態に持ち込む冷温停止のカギを握る。東電は1週間以内に対応するとしているが、汚染水をためておける期限も6月末。ぎりぎりの綱渡りが続く。
東電は事故収束時期を示す工程表で「循環注水冷却」を対策の柱に位置付ける。浄化装置で処理した水を原子炉につながる配管を通じて圧力容器に入れ、炉内の燃料を冷やす。放射性物質を高濃度に含む汚染水をこれ以上増やさず、原子炉を安定させる。
1~3号機の原子炉では現在、1日に真水を約500トン注いで燃料を冷やしている。この水が破損した炉から漏れ出し、高濃度汚染水として建屋などに約10万5千トンたまっている。6月末にも漏れ出す恐れがある。燃料を早く冷やしたいが、注水を増やせない状況だ。
循環注水で注水量を増やせれば、原子炉の冷温停止に近づくと期待されている。
浄化装置は試運転時から不安があった。水漏れやポンプの故障が相次いだ。本格稼働後は汚染水の濃度が高い。修理には稼働を中断して汚染水の濃度を薄める必要がある。