米アップル、ジョブズ氏が「iクラウド」など6日発表
【シリコンバレー=岡田信行】米アップルがインターネット経由でソフトなどを利用できるクラウドコンピューティング型のコンテンツ(情報の内容)配信事業に参入する見通しとなった。6月6日に米国で開くイベントで今年1月から病気休養しているスティーブ・ジョブズ最高経営責任者(CEO)が自ら基調講演で発表。新サービスと合わせて、自らの健在ぶりもアピールする。
アップルが31日、サンフランシスコ市で6月6日に開く世界開発者会議で発表すると予告したのは、クラウドを利用した音楽配信サービスとも報じられている「iクラウド(アイクラウド)」と、パソコン「マック」用OSの「マックOSX(テン)」の新バージョン「ライオン」、高機能携帯電話「iPhone(アイフォーン)」や多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」用となる新OSの「iOS5」の3点。
米メディアによると、iクラウドで配信するのは音楽とみられ、すでに複数の大手レコード会社と契約済み。ユーザーがアップルの配信サービス「iTunes(アイチューンズ)」で買った楽曲などを、米国内にアップルが建設したデータセンターなどのサーバーに保存。ネット経由でいつでも楽しめるようになるという。音楽だけでなく、映画などの配信にも乗り出すという見方もあるが、アップルは詳細を明らかにしていない。
米IT(情報技術)業界では、アマゾン・ドット・コムやグーグルが、クラウド型の音楽配信に参入。今後、競合が激しくなりそうだ。また、6日に登壇が予告されたジョブズ氏の動静も注目される。カリスマ経営者の病気休養で、先行きが懸念されてきたが、ジョブズ氏は3月の「iPad2」発表会にも登場。今回も登壇が決まり、31日の米株式市場でアップルの株価は前日終値より3%以上高い347.83ドルで通常取引を終えた。
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