国会正常化へ4日にも民自公幹事長会談
与野党は30日、1週間以上空転している延長国会の事態打開に動き始めた。自公両党は菅直人首相による自民党参院議員の「一本釣り」に反発してきたが、4日にも民主党と幹事長会談を開く方向で調整に入り、週明けの審議再開に向けて地ならしを進める。両党とも国会審議が滞れば世論の批判を受けかねず、開かれた場で首相を攻撃した方が得策との判断に傾いている。
「3党幹事長の信頼関係が失われている。きちんと釈明すべきだ」。自民党の逢沢一郎国会対策委員長は30日、民主党の安住淳国対委員長に3党幹事長会談の開催を求めたうえで、こう迫った。
会期延長と首相の退陣時期を巡る3党合意を首相の意向でほごにし、自民党議員を引き抜き政務官に起用――。自民党執行部の菅政権に対する不信感は頂点に達している。逢沢氏は国会正常化に向け、まず民主党の岡田克也幹事長の謝罪と釈明が必要と考えた。岡田氏は30日の記者会見で、幹事長会談に応じる姿勢を示した。
民主党は5日に衆院、6日には参院で予算委員会の集中審議に応じる代わりに、7日に原発賠償支援法案を衆院で審議入りするよう求めている。 自民党には「一本釣り」を理由に強硬論が消えない。ただ、公明党は国会空転への世論の批判を懸念して「いつまでも自民党につきあっていられない」(幹部)と不満が出ており、自民党も幹事長会談を機に審議再開に応じる公算が大きい。
自公両党は退陣時期を明示しない首相には対決姿勢を強めるが、東日本大震災からの復旧・復興に「後ろ向き」との批判には敏感。このため15日にも国会に提出される今年度第2次補正予算案や関連法案の早期処理に協力するほか、震災関連の議員立法を積極的に提出して民主党との政策協議に持ち込む構えだ。
政府・与党を揺さぶるカードは赤字国債発行法案に事実上絞る。ただ、首相は同法案成立を退陣条件の一つに掲げており「成立を引き延ばすほど首相を延命させてしまう」とのジレンマを抱える。自民党内に「さっさと通すべきだ」との声もあり足並みがそろわない。
同党は国会運営をきっかけに不協和音も目立つ。30日、浜田和幸参院議員の引き抜きを踏まえて開いた参院議員総会。中曽根弘文議員会長は「大きな責任を感じる」と謝罪したが、出席者から「党が緩んでいる」など執行部の批判が噴出した。
執行部が参院の「過激さ」をもてあますケースもある。脇雅史参院国対委員長は30日、再生エネルギー特別措置法案について「参院で審議に応じることは全く考えていない」と語気を強めた。しかし党政調は対案を検討する構えで、谷垣禎一総裁は記者会見で「全然議論しなくていいとは思っていない」と言葉を濁した。