福島原発への津波、最大22メートル　衛星写真から推計

東日本大震災発生時、東京電力福島第1原子力発電所がある福島県大熊町沿岸で、最大で高さ22メートルの津波が押し寄せた可能性があることが、広島大学の後藤秀昭准教授らの調査で分かった。千葉市で開催中の日本地球惑星科学連合大会で27日、発表した。

研究チームは震災後に撮影された衛星写真を基に、津波で砂やがれきなどが漂着した地域を判定。国土地理院の測量データと照らし合わせ、津波が到達した高さを計算した。

津波が陸地を駆け上がる遡上高の最大値は、福島第1原発が立地する大熊町が最大で推定22メートル。原発の敷地がまたがる双葉町では同15メートル、福島第2原発がある富岡町と楢葉町では同13メートルだった。同県浜通り中南部では、南相馬市で同18.5メートル、浪江町で同11メートルだった。

福島第1原発周辺は同原発事故の影響で現地調査ができない。また、半径30キロ圏内には飛行禁止区域が設定されており、空撮による調査もできない状況が続いている。後藤准教授は「資料が極めて乏しいなか、貴重な情報になる」と話している。

福島第1原発の事故で、東京電力は想定外の大きさの津波に見舞われ、非常用電源などが使えなくなり、原子炉が冷やせなくなったとしている。今月19日には、震災直後の敷地内の連続写真を公開、海面からの高さが15メートル前後あるタンクが海水にのみ込まれる様子が写っていた。