明治・昭和三陸型の巨大地震、宮城―房総沖で可能性
東北に大津波をもたらした1896年の明治三陸地震=マグニチュード(M)8.2=や1933年の昭和三陸地震(M8.1)にそれぞれ似たタイプの巨大地震が今後発生するとすれば「北緯37度以南の茨城―房総半島沖」の可能性があるとの解析結果を、建築研究所の古川信雄研究専門役(地震学)が7日までにまとめた。
茨城―房総沖の日本海溝を挟んだ両側が、両タイプの地震の空白域とみられるため。海溝の西側で起きるのが「明治三陸型」、東側が「昭和三陸型」とみており「発生時期は分からないが、警戒が必要」としている。
明治三陸は逆断層型で揺れは小さいが、東日本大震災に匹敵する大津波を引き起こす「津波地震」、昭和三陸は、明治三陸の震源沖合で発生した正断層型の「アウターライズ地震」と位置付けられている。
古川さんは大震災で活動した震源域の広がりを調べるため、米地質調査所(USGS)が世界の観測点でとらえた震災前後1週間の地震波を解析。420の地震震源や、M7以上を引き起こした断層を調べた。
その結果、余震は岩手―茨城沖の陸寄り中心に発生し、宮城―福島沖は余震域が海溝まで広がっていたが、茨城沖以南では海溝に達しておらず未破壊域が残る可能性のあることが判明。
本震震源沖合の海溝東側で、M7超の正断層型のアウターライズ地震が、震災直後に既に起きたことも確認した。
大震災の震源域北寄りの海域では明治・昭和三陸地震のほか、1994年に三陸はるか沖地震(M7.6)が既に発生しており「茨城沖以南が巨大地震の空白域」と判断した。房総沖の海溝西側で1677年にM8.0の地震があったとされる。〔共同〕