汚染水処理施設、6月に稼働 福島第1原発
東電が設置計画発表
東京電力は27日、福島第1原子力発電所の敷地内に高濃度の放射性物質で汚染された水を処理する施設を設置、6月に稼働すると発表した。施設は東芝と日立GEニュークリア・エナジーが設計し、仏原子力大手アレバ社などの放射性物質処理装置を活用する。タービン建屋などにたまった汚染水の濃度を下げて冷却水に再利用し、原子炉の安定化につなげる。
処理施設は放射性物質を取り除く「セシウム吸着塔」(米キュリオン製)と「除染装置」(仏アレバ製)、油分離器などからなり、集中廃棄物処理施設内に置く。淡水化システムも設置し塩分も取り除く。5月上旬から施設の搬入を始める。
会見した細野豪志首相補佐官は施設の建設費用について、福島第1原発の設計に携わった東芝や日立GEに「相当の協力は当然いただかなければならない」と述べ、設計費用などは持ち出しになるとの考えを示した。
1~4号機のタービン建屋と坑道(トレンチ)には8万7500トンの汚染水がある。さらに原子炉から冷却水が漏れて毎日最大で500トン増える。新施設は1日1200トンを処理でき、年内には建屋などから高濃度汚染水がほぼ無くなるという。
施設はまず、油分離器で汚染水に含まれる油を除去。次に放射性セシウムを吸着する。仏アレバの装置は汚染水に薬品を混ぜてセシウム以外の放射性物質も取り除き、汚染水の濃度を1万分の1に下げる。その後、塩分を除き、原子炉に戻す。
また東電は27日、1号機の原子炉建屋内で毎時1120ミリシーベルトと極めて高い放射線量を計測したと発表した。これまでの計測値で最も高く、汚染水漏れの恐れがあるという。米社製無人ロボットが原子炉内の水を循環させるポンプ室の付近で26日に計測した。
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