携帯3社の11年3月期、高機能携帯で差(注目の決算)
ソフトバンク純利益最高、ドコモとKDDI減収
携帯電話大手3社の2011年3月期決算が9日、出そろった。同日発表したソフトバンクの連結純利益は前の期比96%増の1897億円と過去最高となった。スマートフォン(高機能携帯電話)の「iPhone(アイフォーン)」が人気で9%の増収を確保。スマートフォン投入が遅れ、通話料収入の落ち込みを補えなかったNTTドコモやKDDIと明暗が分かれた。
ソフトバンクの売上高は3兆46億円と、初めて3兆円を超えた。孫正義社長は会見で「iPhone中心にスマートフォン市場の拡大に乗ることができた」と振り返った。多機能携帯端末「iPad(アイパッド)」も好調で、携帯電話契約件数は16%増えた。
スマートフォン利用者は従来型の携帯電話に比べて情報のダウンロードなどデータ通信の利用頻度が高い。1契約あたり平均月間収入(ARPU)は4210円と前の期より140円増えた。基本料を含む音声ARPUは8%減ったが、データARPUが14%増加。連結営業利益は35%増の6291億円となった。
一方、NTTドコモとKDDIは小幅減収だった。米グーグルの基本ソフトを搭載した高機能携帯電話を相次ぎ投入したが、データARPUの伸び率は3~4%にとどまった。両社は割安な通話料金プランの契約者が増え、音声ARPUの下落率も10%を超えた。
ソフトバンクは東日本大震災の被害額144億円を11年3月期の特別損失に計上した。12年3月期は復興関連投資100億~200億円を含め、5000億円(前期比19%増)の設備投資を計画している。
今期の業績予想は公表しなかったが、「スマートフォン市場の拡大で増収増益を見込んでいる」(孫社長)と説明した。